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誰もいない部屋。
鞄の中にある二つのスマホのうち一つを取り出す。パスコードを打ち込んで、開けばたくさんの通知が来ていた。電話帳を開いて、とある電話番号を押して通話を繋げた。
「もしもし、Aです」
『どういうことだ?なんであの男死んだんだ?お前今どこにいるんだ?』
「…………」
『A!聞いてんのか?!』
「ねぇお父さん」
弟の遺留品だったスマホの通話記録。
それを聞いた時私は自分はとんでもない家庭に生まれたのだと思った。「父さん、助けて。俺もう無理だよ」助けを請うていた弟を父は見捨てた。
「…………もう貴方達の道具でいたくない」
『何を言ってんだお前!!』
「さよなら」
無理やり電話を切った。
竜胆さんが言ってた。この部屋には盗聴器、もしくはGPSを遮断させる機械を備えていること。だから見つかることは基本ないと。
多分このスマホにはGPSが付いている。盗聴器はないとしても、持ち続けるのは危険だった。親から逃げなくちゃ、私は解放されない。
ベランダに出ると、最後にアルバムを開いた。
可愛かった弟と映る写真を目に焼き付けて、電源を落とすとベランダから手を出してスマホを落とした。下には誰もいない。落ちた音すらも聞こえないほど高いこの高層マンション。
「…………さようなら、お父さん、お母さん」
両親には感謝の気持ちはあった。
記憶が無くなってからは「無理に思い出さなくていいんだ」と何度も励ましてくれた。それに、大人になるまでの間支えてくれたのは紛れもない親だったから。
けれど、弟を見捨てて、私の助けすら無視する今の両親なんて私にはもう必要なかった。
これからは私の人生を生きさせてほしい。
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年12月25日 13時