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目を覚ませば知らない場所。
体を起こしてみると、体にあったアザや傷が綺麗に手当されていた。最後に起きていた時はホテルで、灰谷さんがガウンを着せてくれたが今は部屋着のようなワンピースを着ていた。
すぐそこにあるスリッパに足を通して、パタパタと音を鳴らせながらリビングらしきところに入っていく。誰かいないのかなと思っていると「お、起きたか〜」と声がして体が跳ねた。
すぐ後ろにいる男の人は確か灰谷さんのお兄さんだ。彼は私の顔を覗き込んで「俺のこと覚えてねぇか?」と聞いてくる。首を横にふるって一歩後ろに下がれば「よし、あの時のまんま」と訳の分からないことを言った。
背中を押されてリビングにある大きなソファーまで連れていかれる。「竜胆、起きたぞ〜」と呑気な声を鳴らせて。
「あ、起きた?」
キッチンから顔を見せる灰谷さんは「紅茶飲むか?」と聞いて三人分のコップを持ってきた。お兄さんはコーヒーで、私のはアップルティーだった。
「好きだろ?」
「………どうして私の好きな紅茶知ってるんですか?」
「ン"ン"ッ!!」
咽せた灰谷さんをお兄さんがゲラゲラと笑いながら見ていた。たまたまと言う彼にそうですかと返してありがたく頂いた。
「なあ、マジでなんも覚えてねーの?俺らのこと、特に竜胆とか」
「え?」
「兄貴、やめろって」
お兄さんの方は先ほどと同じような質問をしてきた。そして灰谷さんもホテルで同じことを聞いた。私はこの二人、ましてや灰谷さんと知り合いだったんだろうか。
「………すみません、わかりません」
けれどどんなに頭を捻ってもわからない。チラリと灰谷さんを見れば視線が合って思わずそらしてしまった。
アップルティーを飲みながら、灰谷さんたちは教えてくれた。あの人はお兄さんの方が殺したこと。私はもう解放されたと言うことも。
けれど、本当の意味で私は解放なんてされてなかった。
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年12月25日 13時