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誰でも良いわけじゃない。
竜胆くんだから言った。寒いから体を温めたいのもあるけれど、それだけでここに彼を誘うことはないだろう。
「………んっ、りんど、……くんっ」
「…………はぁっ、Aっ」
初めての感覚は今じゃどうだったかさえ思い出せない。でも多分痛かったんじゃないかな。
目が覚めたときの疲労は、隣にいた彼の寝顔ですぐに吹き飛んだ。頬を指の腹で押して遊んでいると低血圧だと言っていた彼が顔を歪めながら起きる。
それで「にいちゃ、」とお兄さんである灰谷くんを呼んだ時は思わず笑っちゃって。それで覚醒した彼は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた。
「灰谷くんのこと本当に好きなんだね。お兄ちゃん子だ」
「煩えよ。……仕方ねぇだろ、兄貴なんだから」
ふへへと笑えば、笑うなと足でホールドされた。温まった身体、乾いた制服に腕を通してその場を去った。またね、と家まで送ってくれた彼に笑えば、竜胆くんは私の額にキスをする。
「じゃあな」
「……うん」
明日の放課後、竜胆くんに好きだと言おうと決めた夜だった。
次の日、放課後に教室にいればやってきたのは竜胆くんじゃなくて、灰谷くんだった。やっほ〜なんて軽い口調の彼は少し苦手だけど、竜胆くんのお兄ちゃんだから嫌いにはなれなかった。
「昨日竜胆めちゃくちゃ機嫌良くってさ」
「……………っ」
「うーっわ、初々しいね」
私の頬をツンツンと突いた。
彼は私の髪の毛を人束手に取って、「ねぇどう思ってんの?竜胆のこと」と聞いた。身体を引くと灰谷くんの手から私の髪の毛が落ちた。名前を聞くだけでも心臓がバクバクなる。
「…………竜胆くんには内緒だよ」
「お〜」
「………すっごく好き」
頬を染めて終えば、灰谷くんはニヤァと笑って「かあいいねぇ」と私の頬をペタペタと触る。やめてくださいなんて笑いながら言っていれば、ガタッと音がして誰かが教室に入ってきた。
「ーーーお、竜胆」
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年12月25日 13時