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「今日、放課後暇?」



帰る支度をして、教室の扉を潜ろうとすれば現れた彼に行手を阻まれる。隣のクラスの灰谷竜胆くん。去年、同じクラスで文化祭実行委員になって出会ってからというものの意気投合して今じゃ立派な友達だ。

なんて、恋心を隠しつつもそうみんなには言っていた。


少し照れたように頬を掻いた竜胆くんに、私は小さく笑って「うん、暇だよ」と返す。彼は一度嬉しそうに顔を綻ばせるがすぐにキリッと眉毛を上げて「じゃ、行こうぜ」と私の腕を取る。



「バイク近くに停めてんだけど、乗る?」

「うん、乗りたい!」



ーーー大好きだった。
こうして時々彼と二人で学校から帰った。学校近くに停めている駐輪場まで二人並んで行くのも。よくバイクの後ろに乗せてもらうのも。安全という名目で背中に抱きつけるからだ。


竜胆くんはいつもバイクでいろんなところに連れて行ってくれた。この前は海、その前は湘南。海が好きって教えたら彼はいろんな海を教えてくれた。


夜の海は特に綺麗。
寒い時期だけどそれはそれで少し距離を縮めるきっかけになるから良かった。



「竜胆くん、手冷たいね」

「そうか?つーか、Aの手、小せぇな」

「竜胆くんの手が大きいだけだよ」



手のひらを合わせて大きさを確認し合う。そうすれば竜胆くんがぎゅっと手を握って指が絡まった。



「………寒ぃから」

「………うん」



学校の先生や親は、灰谷兄弟とは関わるなとよく言っていた。竜胆くんやお兄さんの灰谷蘭くんは六本木を仕切ってる不良だからって。怖いイメージが最初あったけど、竜胆くんは初めから優しかった。



「ねぇ、海辺歩こうよ!」

「は、寒いだろ」

「良いから良いから」



彼の手をとって、海辺を歩いていると波に足を攫われてその場でバシャンと海水にダイブした。笑う私に、竜胆くんも釣られて笑う。けれど、冬の海は地獄だった。



「…………ったく、んな濡れて」

「……っしゅん」




竜胆くんの服を掴んで「……あそこ行かない?」と指さした。



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(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/  
作成日時:2021年12月25日 13時

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