強引すぎるよ場地くん【場地圭介】

46 ページ46

*



「葉山さん、今日ご飯どうですか？！」

「い、いいかなぁ、友達と予定あるし……」

「今日は彼氏さんじゃないんすね。喧嘩っすか？」



去年新卒で入社したとある部署の男の子に最近は頭を抱えていた。最初は懐いてくれているものだと思っていたが、こうしてご飯や休日の映画に誘われるといやでもわかる。


好意を抱かれるのはありがたいけれど気持ちに答えられないし、キッパリと告白されたわけではないから拒絶も出来なかった。


いつもは「付き合ってる人が待ってるから」と場地くんを出している。けど、今日は友達というワードを出したからか敏感に反応した彼。



「喧嘩したんなら分かれて僕と付き合いましょうよ！」

「け、喧嘩はしてる……かもしれないけど別れるつもりなんてないから！」

「じゃあなんでいつもしてるネックレス今日はしてないんですか？」



というかいつもどこを見てるんじゃお前は！！と言いたくなった。場地くんに家出する宣言をした際に、テーブルの上にネックレス置いたままだったから今日は首元を飾るそれがない。


荷物を持ちそそくさと帰ろうとするが、後ろをついてくる。「俺前から葉山さんのこと良いなって思ってたんすよ」と聞いてもいないのに伝えてくる。

会社を出てもなおそれが続いた。立ち止まり、彼を振り返り見る。



「ごめんなさい、私は場地くんが大好きなの。君のことは絶対好きになんない」

「そんなことわかんねぇじゃないっすか」



手首を掴まれた。彼の目は真剣だった。
簡単には振り解けないだろう。どうしようと思っていると「A！！」と私の名前を叫ぶ、聞き慣れた声。


声の方向を見ると、愛機のゴキから降りる場地くんが首を傾げてこちらを睨んでいた。



.

47→←45

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す