強引すぎるよ場地くん【場地圭介】

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「だって痛いでしょ？」



場地の幼馴染に打たれた。

綺麗な音がその場に鳴り響き、俺は赤くなった頬をひたすら手で押さえ、目の前の女を睨みつけた。どうせ手を上げても、場地に止められる。だから殴り返してやろうとは思わなかったし、そもそも女を殴るなんてことも出来なかった。



「一虎があのおじさんをどういう風に殺すかは知らないけどさ、殴られたり蹴られたりしたら痛いんだよ。あの人見るからにサラリーマンだったし」

「…………」



ぶつかったのは明らかに俺の方だった。けど、この性格はどうしようもなく、誰か別のやつのせいにしてしまう。


場地の幼馴染は俺の頬に手を伸ばして「ごめんね殴って。痛かったよね」と頬を撫で下ろした。冷たい手が気持ちいい。



「……………痛みを忘れないで」

「……………」

「君は人一倍、痛みを知っているでしょ？」



まるで鈍器で頭を殴られたような気分だった。

終始固まる俺に、彼女は「もしもおじさんが何かしそうになったんなら場地くんと私が助けてあげてたから」と言った。

脳裏に浮かぶ"あの日"の場地の言葉。


『俺はお前の味方だから』



「………ごめん」

「うん！私ね、一虎のこと嫌いだしむしろ大っ嫌いだけど、場地くんの親友だから悪いやつじゃないって思ってるよ。あ、でもやばい奴だとは思ってる！」



私の携帯壊したし！と笑う彼女に何かストンと心の中のものが落ちた気がしてスッキリした。場地が俺の肩を叩き、「いい奴だろ」と呟く。



「つーか、A。お前なに一虎のこと名前で呼んでんだよ。俺の方が付き合い長ぇのに、俺のことはまだ"場地くん"じゃねぇか！」

「だって場地くんは場地くんだもん」



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「いーじゃん場地。俺がAに名前で呼ぶの許可してやったんだから」

「そういう問題じゃねぇよ！つーか、何しれっとお前も名前で呼んでんだよ」





「あ！！場地くん、猫がいるよ！！」


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