モデルとデザイナー【三ツ谷隆】

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体育の授業が終わり、着替えてから外にある自販機でジュースを買った。ペットボトルのキャップを閉めて歩いていると、外の廊下に彼女らはいた。


完全に私を待ち伏せしていたんだろう。
私を見た瞬間に4人グループは私の前で通せんぼ。



「アンタさー、三ツ谷くんに媚び売ってない？ぶりっ子して気持ち悪い」

「隆とは幼馴染だし、そもそも媚びなんて売ってない」



それに好きな人に対してぶりっ子する人は結構いるでしょう。可愛く見られたいし、好きになってほしいから全力でアタックする。

私はね、何年も三ツ谷隆という男に恋してるんだよ。


隆が学校で一部の女子にモテるのは知ってた。
暴走族に入っているのは有名なことだけど、手芸部の部長でしかも料理も出来る。ギャップに胸をやられる女子生徒は多い。まあ私は昔からそんな隆が好きだったわけだが。


それになんと言っても優しいのが三ツ谷隆の一番のポイントである。隆のテスト問題作れるぐらいには隆のことを私は熟知しているんだよ君ら。

……って、違う違う。



「貴方たちこそ私のもの隠したり捨てたりして楽しい？」

「言いがかり言わないでよ」

「今日ボール当ててきたのはわざとでしょ？」



それも2〜3回。
アンタだって！と言い返してくるから、「なんで？私はやられた分やり返しただけだよ？」とわざとらしく首を傾げて見せる。



「モデルだからって調子乗んなブス！」

「ごめんねぇ可愛くって♡私昔から可愛くて何でも服が似合うねってたくさん言われたの」

「……っ！！」

「けどさ、一番可愛いって言ってほしい人に可愛いって言われない気持ちわかる？」


　
隆はいつだってそう。
可愛いだなんて言ってくれない。いつも「似合ってる」だけで終わる。


「このクソ女！！」と突き飛ばされて背中を柱にぶつける。今度水着での撮影あるのにあざが出来たらどうするの。痛いなぁと顔を上げれば、ホースの先から水が出てきて私はびっしょりと濡れた。



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