モデルとデザイナー【三ツ谷隆】

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大きな特集では男性モデルが必要だった。それに選抜されたのが桐山さん。私のはじめての大きな特集なのに。



「今から代理モデル用意できない？！」

「今日は誰も空いてませんよ！」

「どうすんだよ！」



どうしよう、と騒いでいる中、隆が「何があったんだ？」と私の肩を叩いた。そこで閃いた。隆の腕を掴んで担当の人のところに走ってく。

代役見つかりました、と報告すれば皆が「は？！」と目を見開く。



「私の幼馴染です。この通り見た目不良だけど、カッコいいし、優しいし、何より私との相性は最高です」

「……………一人で撮影するよりはいいか。Aちゃんの激推しもあるし」



「なんで俺を、」と未だにこの状況を理解出来ていない隆に「お願い、私を助けると思って」と頭を下げた。


隆を代役モデルとして撮影が再開した。
出来るだけ顔を映さないようにしての撮影は少し戸惑いもあったが、特に問題もなく進んでいく。



「じゃあAちゃん、三ツ谷くんに抱きついての撮影行くね」

「「えっ」」



その注文に顔を歪める。

いつも抱きついたりしてるけれど、今日の服はちょっといつもと違う。露出度高めで足や胸元が出ている。隆だってノースリーブからは筋肉質な腕やデコルテがはっきりと顔を出している。

けど、私はモデルだから。



「………ごめん、隆」

「は？」



正面から隆に抱きつく。ピッタリとくっついた体からは彼の心臓の音もうかがえた。ものすごいスピードで鼓動を打っている。

あの隆でもやっぱり初めての撮影は緊張しちゃうんだろうな。こんなにもドキドキと胸が脈打っている。



「いいよAちゃん。いい表情！可愛い！ーーーじゃあ次は額くっつけよっか」



なんでなんで。いつもはそんな注文してこないのに。
モデルの意地もあるから、やらないといけないけれどもう心臓がもたない。



「…………ほら、Aやんぞ」

「………わっ」



くっついた額。
鼻と鼻がくっつきそうなほどすぐそこにある隆の顔。顔が赤くなるのも無理はない。



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