チーズケーキ (ページ13)

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10話ページ13

漫才には支障が出ないよう、女の子とゆずるさんのことは忘れることにした。

いや漫才の時だけで終わったあと思い出しちゃったけど。

そして他の芸人さんに挨拶をして帰ろうとした時だった。

？｢あの、西野Aさんですよね｣

誰かに声をかけられた。

はいそうですけど、と言いながら後ろを振り返るとそこにはあの女の子が私を睨みつけてながら立っている。

リ｢私の名前はリリです｣

｢は、はい…｣

リ｢単刀直入に聞きますけど、ゆずるさんのこと好きなんですか？｣

…え、バレてる？

もしこれでYESと言ったら何されるか分からんし、NOと言っても嘘になるし…

頭の中が猛スピードで回転するけど答えは出ない。

リ｢聞いてます？｣

｢あっ、すみません｣

リ｢それでどっちなんですか｣

｢す、好きです！…あっ言っちゃった｣

気づいた時には本音を言ってしまって、今更訂正なんて出来ない。

リ｢そうですか、なら勝負ですね｣

うふふっと笑う顔は、さっきの感じ悪さとは違って若くて可愛い女の子だった。

リ｢私もゆずるさんのことが好きなんです。だから正々堂々と勝負ね｣

｢わ、わかりました｣

じゃあ帰りますと女の子が歩き出した時、何かを思い出したのか振り返ってきた。

リ｢Aさん、わかりやすいですよ！｣

それだけを言って女の子はフリフリのスカートを揺らしながら堂々と歩いていった。

え、ていうか…わかりやすいって何が！？