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「これは私が決めたことなんだ、君がそんな思い詰めないでほしい、って言っても、君の性格は知っている。そこで素直にうんと頷きはしないだろうね」



こんな人混みの中、立ち止まっている私達だけれど周りの人間たちは見向きもしない


私達は非術師が生み出した呪いを払うために血を流し、痛み苦しんでいる。それなのに、非術師達はそんなことも知らずのうのうと生きている…今の状況と全く同じだった。

都会に出ればたくさんの人がいる。それはもちろん、私達と同じような学生も。

華やかな制服に身を包み、呪霊とは関係のない勉強をして、部活をして、たくさん遊んで。

そんな普通の青春を送れる人たちを見て、羨ましいと思った。呪霊のいない世界でみんなと普通の高校生活を送る人生を何度も想像した。

でも、呪霊を目の前にする度に、ああ、何馬鹿なこと考えてるんだろってあっけなくそんな夢は消しとばされる。

術師から呪霊は生まれない、なのに私達は彼らの尻拭いをしなくてはいけない


『傑くん、私は、傑くんみたいに優しくないよ。私は、私の大切な人と、その人の大切な人が幸せならなんだっていいの

顔も、名前も、何にも知らないただの他人なんかに情なんて湧かない。私はこの世の全ての人の幸せを願っているわけでもないし、助けようとも思わない。私は所詮、自分の手の届く範囲だけ、‥‥でも、傑くんは違うでしょう‥?背負うものが、大きすぎたんだよ』


全部、全部私の正直な気持ちだ。私は優しい人間なんかじゃない。

彼が口を開く前に、何も言わせないうちに、私は続けて言葉を放つ


『お願い、傑くん、あの場所が傑くんにとって息の詰まるところだっていうのは、少しだけでもわかるの

でも、お願い、一緒に戻ろう…?私は今無作な考えしか持ってない、今はまだ傑くんにとって憎くてたまらない世界なのかもしれない。でも、いつか、まあいっかって思えるぐらいの世界なら作れると思うの、‥‥私たちなら』


ぴくり、私が最後に言ったその言葉に、彼は微塵ながらも表情を崩した。私がそれを見逃すはずなかった。

彼が決めた信念を、たかが私の言葉なんかで揺るがないとは思っていた。彼はそんな生半端な気持ちで決めたことじゃないのはもちろんわかっていた、でも、それでも、言わずにはいられなかった。

彼は私に何て言葉を返すか、ばくばくと鳴る鼓動を感じながらただじっと、彼の返事を待った。


「私は‥‥」

そう、彼が口を開いた時だった


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らいらっく(プロフ) - きのこ姫さん» そう言ってもらえてとっても嬉しいです😭続き頑張って書こうって気持ちになれますありがとうございます!🫶 (3月12日 12時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
らいらっく(プロフ) - 名無し37619号さん» 嬉しいですありがとうございます!!文字数制限に阻まれながらも頑張っております🥹 (3月12日 11時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
らいらっく(プロフ) - ちむさん» ありがとうございます!!そう言ってくださるととてもやる気になれます😭😭 (3月12日 11時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
らいらっく(プロフ) - みょんさん» あわわありがとうございますとっても嬉しいです😭私も早く夢主ちゃんの秘密バラしたいです…🥺更新頑張ります!! (3月12日 11時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
きのこ姫(プロフ) - すごい!面白かったです!はやく続きがみたいです。 (1月4日 13時) (レス) @page35 id: 37e234dc71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らいらっく | 作成日時:2020年12月7日 22時

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