. ページ33
＿＿＿
＿
恐れているものというのは、ある日突然とやってくる
「‥はいばら、くん、‥‥？」
灰原くんと話したのは、本当につい最近だった
思い返そうとすれば簡単にあの笑顔が脳裏に浮かぶし、元気なあの声だって聞こえてくる
いつも私を見かけると、その無邪気な笑顔を浮かべて駆けてくる
私の記憶の中で一番新しい彼は、そんな姿だった
‥だからこそ、その灰原くんが今、私の目の前で横たわっていることに意味がわからないのだ
頬に大きな傷を負った彼のその瞳は、硬く閉じられている。
触れたはずなのに、伝わってくるのは冷え切った体温だった。
七海くんと傑くんの声は、どこか遠く聞こえる
背後から聞こえてくるその苦痛の声は、七海くんの声だった。でも、いつも冷静沈着な彼はそこにはいない
‥‥当たり前だった、こんな状況の中冷静を保っていられる方がおかしい。
だって、灰原くんはもう＿＿＿
「っ、は、」
そう理解した途端、息が詰まったかのように苦しくなる
喉に何かが詰まったように息が吸いづらくて、心臓をぎゅっと握りしめられている様だった
負の感情がぐるぐると渦巻いて、蓄積して、私の中にあるそれがじわじわと広がっていく。
私は、自分の死よりも大切な人の死のほうがずっと怖い
私はずっとずっと、それを恐れていたのかもしれない
いつも通り話して、笑い合って、当たり前のように感じていた存在が一瞬にして消えてしまう
それが怖くて怖くて仕方なかった。
現実を受け止めなくては行けない、わかっている。
それでも、私は目を逸らしてしまった。
「今はとにかく休め七海、任務は悟が引き継いだ」
「＿＿＿‥‥もうあの人1人で良くないですか」
‥私は、なんて声を七海くんにかければいい。
残される側が辛いということは痛いほどわかる、悔やんでも悔やんでも、いくら後悔してもその人は帰ってこない。
一番辛いのは、七海くんだ。
だからこんなことを言ってしまうのもわかる。
でも、私にはそんな彼を否定することも肯定することもできない
きっと、この時からだ
複雑に絡み合った歯車がミシミシと音を立て始めたのは
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2958人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らいらっく(プロフ) - きのこ姫さん» そう言ってもらえてとっても嬉しいです😭続き頑張って書こうって気持ちになれますありがとうございます！🫶 (3月12日 12時) (
レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
らいらっく(プロフ) - 名無し37619号さん» 嬉しいですありがとうございます！！文字数制限に阻まれながらも頑張っております🥹 (3月12日 11時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
らいらっく(プロフ) - ちむさん» ありがとうございます！！そう言ってくださるととてもやる気になれます😭😭 (3月12日 11時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
らいらっく(プロフ) - みょんさん» あわわありがとうございますとっても嬉しいです😭私も早く夢主ちゃんの秘密バラしたいです…🥺更新頑張ります！！ (3月12日 11時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
きのこ姫(プロフ) - すごい！面白かったです！はやく続きがみたいです。 (1月4日 13時) (レス) @page35 id: 37e234dc71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らいらっく
| 作成日時：2020年12月7日 22時
