22 前世 ページ22
千「兄上、姉上、お気をつけて!」
杏「うむ!行ってくる!」
『千君、留守をお願いね』
あれから月日は流れ、私達は今日、鬼殺隊の最終選別に向かう。
千君は、あの日の私達と同じくらいの歳になり、私達の稽古に参加しながら、家の手伝いなどを積極的に行ってくれる。
私のことを、姉上と呼び、私も千君のことを実の弟の様に可愛いがっている。
私と目線が同じだった杏寿郎は、いつの間にか、私よりも背丈が大きくなり、顔つきも体つきも、立派な青年になっていた。
槇寿郎さんは相変わらず酒におぼれているが、瑠火さんの命日と月命日だけは酒を飲まなかった。
杏寿郎と共に最終選別に向かう挨拶をしに行ったら、勝手にしろ、と言われた。
行ってきます、と、千君に告げ、私達は、藤襲山へ向かった。
杏「A!」
道中、杏寿郎が不意に私の名前を呼んだ。
杏「俺が今日、こうして、鬼殺隊の最終選別に向かえるのは、他の誰でもない、君がいてくれたからだ!あの日、君が、心を燃やせ、と、俺の背中を押してくれなかったら、今の俺はここにはいない!」
感謝する!とニッと口角を上げる杏寿郎。
『。。。私の方こそ、あなたがいてくれたから、今日のこの日を迎える事ができた。。。。。7日間、共に生き抜こう!』
そう言うと、うむ!と杏寿郎は力強く答えた。
藤襲山での最終選別。
鬼を目の前にするのは、鬼になった両親を見た以来で、私は足をすくませた。
杏「A!動きを止めるな!心を燃やせ!」
何時の日か、私が杏寿郎に言った言葉。
それをそっくりそのまま返されるとは。
『うん!』
そうして私達は、共に7日間生き抜いた。
「俺、あなた達みたいになりたいです」
最終選別が終わる終盤、鬼に襲われかけていた男女を杏寿郎と共に助けた時に、そう、私達と同い年の彼に言われた。
「俺も、あなた達みたいに強くなって、仲間を。。。皆を助けられる人になりたい!鬼に、家族を奪われる事が無いように、誰も。。。もう誰も!」
杏「うむ!俺たちはまだ柱でも何でもないので、こそばゆいが、一緒に頑。。。」
最終選別で鬼に折られた刀を振るえながら握りしめる彼に、杏寿郎は言葉を詰まらせた。
『。。。杏寿郎?』
杏「。。。一緒に頑張ろう!」
はい!と答えた彼ら。
何故、杏寿郎が言葉を詰まらせたのか分からなかったが、とにかく、これから鬼殺隊として、杏寿郎と共に、生きていこうと、私は改めて誓った。
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りりむ(プロフ) - みんみさん» みんみさん、コメントありがとうございます!ついに煉獄さんが300億の男となりましたね!そんな煉獄さんの勢いに負けず、私もこの作品を素晴らしいものにできるように頑張ります!最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします! (2020年12月14日 16時) (レス) id: b70c779254 (このIDを非表示/違反報告)
みんみ(プロフ) - 初めまして^ - ^いつも楽しみに見させてもらってます!切なくて尊いお話に感動しています!!無理せずに頑張ってください♪ (2020年12月6日 21時) (レス) id: 51bdc8dd02 (このIDを非表示/違反報告)
りりむ(プロフ) - 菫さん» 菫さん、コメントありがとうございます!この作品も、読者の皆様に感動とキュンキュンを与えられるような作品にしたいと思います!最後までお付き合いくださいますよう、よろしくお願いいたします! (2020年12月4日 12時) (レス) id: b70c779254 (このIDを非表示/違反報告)
菫(プロフ) - いつも楽しみにしてます!頑張って下さい(^^) (2020年12月2日 13時) (レス) id: 8bdaaad09a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りりむ | 作成日時:2020年12月2日 13時