17 杏寿郎side ページ17
Aがこの学園に来てからしばらくが経った。
あの日以来、俺がAと2人きりで話すという事は無かった。
この前、中間テストを行ったが、Aは日本史で満点を取った。
他の教科も全てトップの成績だったらしく、学園中に彼女の存在が知れ渡った。
職員室で宇髄たちも、さすがAだな、と、彼女のことを高く評価していた。
昔から何でも拙くこなす彼女だ。
当然といえば当然なのかもしれないな。
杏「。。。。。A?」
4時間目が始まる前、今し方登校してきたであろう、Aを見かけた。
『煉獄先生』
こんにちは、と頭を下げる彼女の手には、投薬袋があった。
杏「どうした?!どこか悪いのか?!」
ガッと彼女の肩を掴むと、彼女は驚いたような表情を見せたが、すぐにフハッと吹きだし、違いますよ、と投薬袋の中から、目薬を取り出した。
『。。。。。実は私、生まれつき、左目が見えないんで、定期的に通院しているんです。。。光は感じられるんですけど、物を認識したりというのは。。。。。別に痛みとかは無いし、。。生活にも支障はないですよ。今登校してきた理由は、そう言う事です』
校則に厳しい冨岡先生にも許可を取りました、と、ニコッとほほ笑むA。
杏「。。。。。そ。。。うなのか」
言葉を詰まらせた俺に彼女は続けた。
『そんなに、悲しい顔をしないでください!。。。。。それに、なんていうか、私、この目で良かったなんて、時折、思う事があるんです。なんでかは分からないんですけど。。。』
変な事を言ってすみません、という彼女。
俺はあの時の彼女の言葉を思い出した。
ーーーあなたの傷も、痛みも、今度は、私がすべて請け負うから。。。。。
『煉獄先生?!』
気が付くと俺は、ポロポロと涙を流していた。
どうしたんですか?!と、彼女が俺に駆け寄ろうとした時、4限目が始まるチャイムが鳴った。
杏「。。。。。なんでもない!授業が始まってしまったな!引き留めてしまってすまない!さあ、早く教室に行きなさい!」
彼女は腑に落ちない表情を浮かべたまま、俺の元を去って行った。
A、やっぱり君は、君なのだな。
前世の記憶がなくとも、君はちゃんと、己の誓いを守ったのだな。
不便な思いをさせてしまって、申し訳ない。
何もできない自分が不甲斐ない。
A。
そんな君のことが、今も昔も、たまらなく好きだ。
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りりむ(プロフ) - みんみさん» みんみさん、コメントありがとうございます!ついに煉獄さんが300億の男となりましたね!そんな煉獄さんの勢いに負けず、私もこの作品を素晴らしいものにできるように頑張ります!最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします! (2020年12月14日 16時) (レス) id: b70c779254 (このIDを非表示/違反報告)
みんみ(プロフ) - 初めまして^ - ^いつも楽しみに見させてもらってます!切なくて尊いお話に感動しています!!無理せずに頑張ってください♪ (2020年12月6日 21時) (レス) id: 51bdc8dd02 (このIDを非表示/違反報告)
りりむ(プロフ) - 菫さん» 菫さん、コメントありがとうございます!この作品も、読者の皆様に感動とキュンキュンを与えられるような作品にしたいと思います!最後までお付き合いくださいますよう、よろしくお願いいたします! (2020年12月4日 12時) (レス) id: b70c779254 (このIDを非表示/違反報告)
菫(プロフ) - いつも楽しみにしてます!頑張って下さい(^^) (2020年12月2日 13時) (レス) id: 8bdaaad09a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りりむ | 作成日時:2020年12月2日 13時