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「……男性が恐ろしくなったかい」
「いや。……別に、お前のことも……怖くない」
「では何故？大事をとって？……それに、そんな事件……寮長や副寮長には？」
「……報告済だ」
昨日のリリア先輩を思い出して、急に胸が痛くなる。
……怒りに満ちた紅の瞳。わたしの体を優しく撫でて抱きしめた温かさ。
……突然、前のようにされたことを……わたしは拒否した。
「……なんだか、からっぽな気がするんだ」
ルークはわたしにとって何でもない。
……だから、かもしれない。言葉がつらつらと流れ出て。
「レオナに抱かれた時……何もかもどうでも良くなったんだ……」
「……おや、獅子の君とは」
「……いま、空っぽなんだ。だから……エースや……。……クラスメイトには会えない。部活にも行けない。
笑えないし、笑いたいとも思えない。
うまく言えないけど、からっぽなんだ……なにかが」
「……それは」
ルークは少し躊躇いつつも、わたしの胸元に手を添えた。
「このあたりの話かな」
「……そうだな」
「……そうかい」
しばらく、わたしたちは黙ったまま。
黒猫は何か機嫌が悪いようで。それでもわたしの手から離れなかった。
「……それなら、ほんの少し……ほんの少しだけ、そのからっぽの器に何かを注ぐ手伝いをしようか」
「……何言ってるんだ」
「その胸の空洞に心当たりがあるからね。……我が寮へ案内しよう？」
ルークが手を差し伸べる。
……容姿と見比べても、まるで……絵本に出てくる王子様のように見えた。
……厳重注意。他寮への移動はしばらく禁止。また、副寮長以上に必ず報告を。
……信用出来ない男についていって、また襲われてボロボロになるんじゃないのか？
こいつは信用に足るのか？
……わからない、のに。
……わたしは吸い寄せられるように、ルークの手を取った。
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リュウ(プロフ) - レンリさん» 読んで下さりありがとうございます！励みになります……！ (2020年9月2日 20時) (
レス) id: 4f9eddeefa (このIDを非表示/違反報告)
レンリ - 心が、ギュッと絞め付けられました。美しいお話だと思います。切なくて、美しいお話だとお (2020年9月2日 17時) (レス) id: cff600fdbd (このIDを非表示/違反報告)
リュウ(プロフ) - 瑠李さん» ふふ、いつもありがとうございます笑 マイペースに頑張っていきますのでお楽しみいただければ幸いです♪ (2020年8月30日 3時) (レス) id: 4f9eddeefa (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - 初コメ失礼します。いつも楽しく読んでいます。私はリリア推しなので嬉しいです笑これからも楽しく読み続けます！更新待っています笑頑張ってください！応援してます。 (2020年8月30日 1時) (レス) id: 39848ca80e (このIDを非表示/違反報告)
リュウ(プロフ) - マザーグースさん» ご指摘ありがとうございます。ルークは名前呼びと愛称呼びを使い分ける人間ですので、場面場面でルークの意図や無意識などを自己解釈で書いております。お楽しみいただければ幸いです。 (2020年8月29日 21時) (レス) id: 4f9eddeefa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リュウ | 作成日時：2020年8月23日 3時
