【twst】巡る刻の中で3度目の①【リリア夢】 (ページ9)

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「また僕は入学式に呼ばれなかったのか？」

「これ、へそを曲げている場合ではないぞマレウス。新入生の前じゃ。はよう挨拶せい」

寮の中もまた、薄暗い城のようだった。
ホールのような場所に並ばされ、座らされ、リリアが呼んできたのは、角を生やした背の高い男だ。
まるで……絵本に出てくるような、王のような服装をしているな、と思った。
そういえば、リリアもまた、別の服装に着替えている。いつのまに？

ぶつぶつとなにか文句を言いながらも、わたしたちの前へやってきて、す、とわたしたちを見下ろす。
……わたしは悟った。こいつが群れのリーダーだ。

「ふむ。……新入生諸君、我がディアソムニア寮へようこそ。僕は寮長のマレウス・ドラコニア。気軽に接してもらって構わない。我が寮へ入寮できたこと、祝福する」

そう言って彼が指をふると、ホール中に黄緑の閃光が走り、キラキラと輝く。
新入生たちが、わっ、と盛り上がる。
光は次第に花びらのようになり、落ちていき、やがて消えた。
わたしもまた、その美しさに見とれていた。

「マレウスよ。ちゃんと自己紹介せんか。……皆の者、よく聞くが良い。マレウスは茨の谷の時期王である。それを見据えた上で、行動することを考えよ」

リリアが呆れたように補足した。それから、ごほん、と一息ついて。

「わしは副寮長のリリア・ヴァンルージュじゃ。困ったことや分からないことはいつでも頼っておいで。優しく可愛く聡明で愛らしい美少年じゃ！よろしくな、新入生よ」

……自分で言うのか、と思いながらも。
ローブを脱いだリリアは、確かに愛らしい姿だな、と思いながら遠目から見ていた。

と、一瞬、目が合ったような気がしたが。
……気の所為だったかもしれない。