Prologue ページ2
「おまえさえ、おまえの、おまえのせいでッ…！」
ふぅふぅと荒く吐き出される息から濃い酒の匂いが漂い、自分の命が危うい状況だと言うのに思わず顔を顰める。
今、家には自分と目の前の酔っ払い以外誰も居ない。
赤ん坊の頃に棄てられ、引き取られた家から飛び出した身の上だ。恋人や友と呼べるような人物もいなかった。
電灯の灯を受け、ぎらりと剣呑に光る鋏を見ながらさてどう言いくるめてやろうかと考えながら口を開いた。
「仕方ないだろ。俺は天涯孤独の身、この年で身寄りも学もない。働かせてくれる場所なんてないんだから。
あんたには感謝してるよ。寄付だと言ってお金をくれたんだもの。」
「おれ、おれは、お前に惚れていた、だから沢山買ってやったのに、なのに……！！」
「それについてはとうに話し合ったろ。デートは良し、でも性的な交渉は無しだって。」
「たくさん、たくさん金を使って、借金までして、なのに、それなのに、なあ、一回だけ、一回だけ、いいだろ？なあ？」
じりじりと鋏が近づいてくる。
同時に俺もそうっと後ろに下がる。
「ならまずはその物騒な物をしまっておくれよ。
そしたら話し合おう。な？だからさ…」
宥めようと手を軽く挙げたのがいけなかったのか。
相手は俺の手を引っ掴んで乱暴に引き寄せた。
そのせいでぐらりと体が傾いて、どうにか踏ん張った時にやけに腹が冷たいことに気がつく。
「は……？」
見ると、鋏が深々と俺の腹に刺さっていた。
呆然としている間にも、何度も何度も雑に抜き差しされて血が溢れてくる。その度に灼熱が腹から響いて、痛くて堪らず悲鳴を上げた。
しかし逆流した血液がごぷりと口から溢れ出て、ごほごほと噎せてしまう。
すぐにくらりと眩暈がして、立っていられなくなり後ろに倒れた。
目の前に星が散るような思いをしながら、ぼんやりとした視界で相手が自分の上に馬乗りして来るのを眺める。
「はは、ははは、おまえが、お前が悪いんだ、この口、口が、舌が……」
口を開けさせられ、冷たい刃があてがわれる。
おいやめろ、まさか。
静止を掛ける間もなく、バチン！！という音がして口が裂けた。
悲鳴をあげるうちに反対側も切られ、顔中に血が垂れ流しになる。
必死で命乞いをする舌を、引っ張られて、それで。
自分の叫び声で目が覚める。
ヒュウヒュウと喉が可笑しな音を立てており、嫌な汗が全身を流れていく。
嫌な夢だ。
どうにか呼吸を整えてから、ぼそりと呟いた。
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桜もち(プロフ) - 続き……続きをください………！！！、！ (1月23日 11時) (
レス) @page8 id: eb3e4608b9 (このIDを非表示/違反報告)
「「ﾊﾀﾞｶﾏﾌﾗｰ」」 - ｱ"ｧｯ....またこんなところに神小説が...好きすぎる....（爆散）無理せず更新頑張ってネ、続き楽しみにしてます！ (2022年3月6日 1時) (レス) id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
リリカ - ミクさん» とても嬉しいお言葉をありがとうございます！！なるべく早く更新できるよう尽力させて頂きたく思います。 (2022年2月25日 9時) (レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
ミク(プロフ) - 性格がめちゃくちゃ好みです!! 続き楽しみにしてます!! (2021年3月28日 22時) (レス) id: 9fa2aabb56 (このIDを非表示/違反報告)
リリカ - ぽんさん» コメントありがとうございます。外したと思っていたのですが外れてなかったんですね…確認不足でした。申し訳ありません。ご忠告ありがとうございます。 (2020年11月27日 0時) (レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリカ | 作成日時：2020年11月25日 22時
