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先生が生徒全員の出欠を確認し終えた。
渚はナイフを心臓に狙いを定める。
殺らなくちゃいけない時間だ…。
ドクンドクンッと心臓が煩いぐらい聴こえる。
殺せんせーの顔を押さえる手も微かに震える。
私達の頭には殺せんせーとの思い出。
渚が刺す所を一番近場で見れるここは緊張の空気が強く漂っていた。
渚の手が、腕が、ナイフが…震え上がり
渚が苦しそうに叫びナイフを振り上げた。
瞬間、ピタっと渚の喉に先生の触手が
「そんな気持ちで殺してはいけません。落ち着いて、笑顔で」
そう喋る殺せんせーの声はとても優しく、落ち着いていた。
最後まで殺せんせーはちゃんと『先生』だった。
ポタリッ
私の頬に温かいものが伝い、地面に落ちた。
先生を押さえる手が震える。
殺せんせーはちゃんと私を見ていてくれた。
ちゃんと私を理解してくれていた。
感謝してもし切れない…。
トクン…トクン…
「さようなら、殺せんせー」
「はい。さようなら」
……余計な言葉はもう口に出さなかった
感謝、惜別。
全ての気持ちを刃に込めて、
魂を注ぐように、全身で“礼”をするように、
渚はナイフを差し出した。
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祭り花 - 泣けてきました。まさに、私が求めてきた作品!応援してます。 (2021年12月20日 23時) (レス) @page33 id: ace33ee89c (このIDを非表示/違反報告)
リラパス(プロフ) - 一週間ほどかけて一気見しました!最後は顔がぐちゃぐちゃになってました(笑)最高の作品をありがとうございました‼︎ (2021年9月30日 23時) (レス) id: 6be6aa8389 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - あああ、両想いって自覚してからのカルマとのイチャイチャ見たい見たい見たい見たい(以下略)というわけで、更新待ってます!頑張ってください! (2021年9月4日 23時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリ | 作成日時:2021年8月14日 13時