(245)【第五層】仕事 ヒットside ページ12
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【ヒットside】
直後、シヴァタのアイアンメイルが、無数の青い細片と化して砕け散った。
無慈悲な歯列はそのままシヴァタの胴体に食いこんだが、しかしそこで隣に飛び込んだリーテンのスチールプレートに激突し、強烈な衝撃音と大量の火花を生みながら停止した。
シヴァタ「な…リッちゃん、どうして…!!」
シヴァタが、左手でリーテンの右肩を掴みながら叫ぶ。リーテンは、両手でフスクスの口を推し開こうとしながら答えた。
リーテン「だって私、タンクだから!守るのが、仕事だから…!」
その言葉は、十五メートル離れた場所で棒立ちになっていた俺の痺れた意識をもしたたかに撃ち据えた。
アルゴとネズハを除く十人の中では攻略集団に最も遅く参加したリーテンが、誰よりも果敢に己の役目を果たそうとしている。
それなのに、直接の危険に晒されているわけでもない俺が、真っ先に諦めてどうする。
リーテンの仕事が守ることなら。
いまの俺の仕事は、考えることだ。
考えろ。脳細胞が全部焼き切れるまで考え抜け。
フスクスの弱点…額の紋章はどこに行った?消滅してしまったとは考えられない。
フスクスの顔は、天井から消えて床に出現した。ならば、額から消えた紋章も、他の場所に移動したと推測できるのではないか。
床、壁、天井のどこかか?いや、それよりももっと可能性が高い場所が存在する。
愛剣を強く握り直すと、俺は広間の中央に集まっているハフナーたちに向けて叫んだ。
ヒット「お前らは何とかしてラインを避けろ!無理だったら、ボスの顔に登れ!」
さっとこちらを見た彼らが、いっせいに頷く。
装備重量の大きいハフナー、ナイジャン、オコタンがボスの両頬によじ登り、キリト、アスナ、ローバッカは散開して床に集中する。
俺は続けて、近くの仲間たちに指示した。
ヒット「リゼ、アルゴ、ネズハ!ラインを踏んで、腕と足を出せ!そのどこかに、弱点の紋章があるはずだ!見つけたら、それを全員で攻撃する!」
リゼ「分かった!」
アルゴ「わかっタ!」
ネズハ「やってみます!」
さすがの速さというべきで絶望状態から回復したリゼが頷いたことに安堵してから、腰を落として身構える。
ラインが停止する瞬間、前に出した左足でそれを踏む。青い線が靴の下に同心円を描いた瞬間、俺は大きく後ろに飛びすさった。
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りりか@(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます! (2021年1月4日 20時) (レス) id: 94b1bb8aaf (このIDを非表示/違反報告)
りりか@(プロフ) - ミリアさん» ありがとうございます!頂きます! (2021年1月4日 20時) (レス) id: 94b1bb8aaf (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 続編おめでとうございます!今年もコロナも気を付けて頑張って下さいね!無理しないで下さいね。コメントですけど、暖かいシチューどうぞ。(優しい笑顔) (2021年1月4日 16時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 続編おめでとうございます!! (2021年1月4日 16時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
りりか@(プロフ) - 雪華さん» ありがとうございます! (2021年1月4日 15時) (レス) id: 94b1bb8aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りりか@ | 作者ホームページ:http naru1
作成日時:2021年1月4日 12時