04 ページ4
『角のコンビニ無くなったんだね』
家から1番近くて、1番便利だったあのコンビニ
「もう1年くらい経つよ」
そうか、そんなにも経ってるのか
あんまり帰ってきてなかったもんな
弟とこうして並んで歩くのも久しぶりな気がする
『あれ?塾もなくなったの?』
私も弟も通っていたあの塾
「いや、駅ビルのほうに移転しただけ」
『そうなんだ』
「姉ちゃんさ…」
『ん?』
「あの頃、色々ありがとうな」
『なに?どうしたの急に!」
「いやさ、夜勤の多かった母さんの代わりに飯とか弁当とか…俺、姉ちゃんの作る飯好きだったよ」
急に改まってそんな事を言われると照れるもんだ
『まぁ、母さんの料理がアレだもんね…』
「だいぶん上手くなったけどね」
なんて笑いながら歩いてるうちにコンビニに着いた
私はお気に入りの抹茶のソフトクリーム
勝利も食べたいって言うからバニラもカゴに入れる
再び並んで歩く帰り道
そうだ、まだ言ってなかった
『勝利おめでとう』
「ん」
って嬉しそうに笑う顔は可愛いかった幼い頃のまま変わってない
「姉ちゃんはさ?いい人いないの?」
『んー今はねぇ』
「ふーん。料理も上手くて、見た目もソコソコいいのにね」
ソコソコって
『見た目だけのアンタに言われたくないわ!!』
やっぱり生意気なムカつく弟
コンビニの袋からアイスだけを抜きとって
投げつけるように渡す
「ひでーー」
家に着いてから食べようと思ってたけど、パカッとカップを開いた
昔はよくこんな風にならんで食べながら帰ったよね
「あ!そーいやさ、岸が姉ちゃんに式で会えるのすげー楽しみにしてるみたいだわ」
ん?
岸くん??
久しぶりに聞いたその名前
そして思い出した事
彼ともこんな風に並んでソフトクリームを齧りながら帰った夜があった
60人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Riri | 作成日時:2021年4月17日 9時