キシくんは、トモダチ 2 (ページ3)

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久しぶりに帰った実家

この家を出た時のまま変わらない私の部屋

「姉ちゃん俺結婚するわー」

弟にそう告げられたのは
そこでベットを背もたれに昔好きだった
漫画なんか読んでる時だった

素直に祝福したい気持ちと
弟に先を越された焦り
しかもこっちは先月長年付き合った彼とわかれたばかりだ

あとは、まぁ正直顔の良さくらいしか取り柄がなさそうなこの弟が！？
っていう驚きもあり
すぐに「おめでとう」とは言えなかった

夕飯時久しぶりに家族4人揃って囲む食卓は
それはもう居心地が悪く、黙々と料理を口に運ぶ事しかできない

母親も弟も私に長年付き合ってた彼がいた事はなんとなくわかっていて、それが連休にこうして暇を持て余して帰ってきてるのだ、薄々は気づいてるのだろう

そのうえ、5歳も下の弟に先を越されたもうじき30歳を迎える姉を心配してなのか母親は

「お父さんの会社に誰かいい人いないの？」

とか

「あ！そー言えばこないだ佳子がお見合いの話あるって言ってたから聞いてみようか？」

とか…

心配してくれてるのはありがたいんだけど、
そっとしておいて欲しいものだ

『ごちそうさまでした』

早々にご飯を食べ終えて席をたつ

『佳子叔母さんに聞かなくていいからね！！』

それだけ念を押して自分の部屋へと戻った

はぁ、明後日までこっちでゆっくりしようと思ってたけど、もう明日戻ろうかな…

ベットへダイブしてスマホを開く

最近お気に入りの猫の動画でもみて癒されよう

でも考えてみたら、マッチングアプリやお見合いって合理的でいいのかもしれない

出会いの場なんてそうそうないし
職場も私のいる部署は部長を除けば全員女性だ

だけども、やっぱり気は進まない

夢中になって玩具に戯れてる子猫の動画に視線を移す

うん

やっぱり今は新しい男より可愛い猫が欲しいや

両親にも心配かけて申し訳ないけど
私はこのまま独身を貫くかもしれないな

コンコンとドアがノックされ
ドアの向こうから

「コンビニ行くけどなんかいる？」

と弟が聞いてくる

『アイス！』

「どんなの？」

うーーん…

『私も行くわ』

勢いをつけてベットから起き上がりドアを開くと弟は既に階段を降りていた