Antipasto ページ8
その日は仕事で嫌な事があった。
事前に確認したのに、やはり資料の一部が間違えていた。で、作り直し…上司は誤ってくれたものの、結局私が残業する羽目に。
疲れたし、クサクサした気持ちのまま家に帰るのが嫌で、いつもと反対の道を歩く。
住宅街の角にポツンとある灯り。夜風にはためくイタリアン国旗。外からお店の中を見るとお客さんは誰もいなくて、真剣な顔してグラスを拭いてる彼がいた。
「あ！いらっしゃいませ！！」
扉を入って中に入れば、満面の笑みで迎えてくれた。
あ…髪型が変わってる…上げてた前髪がおりていて可愛いなって思いながら、誰もいないカウンターについた。
「本当にまた来てくれたんすね！あざっす！」
覚えてくれてるみたいで安心した。
白のサングリアとアンティパストの盛り合わせを頼む。
「お仕事帰りっすか？」
そう言うながら、グラスに添えらた指の綺麗さに釘付けになった……
『指、長いねー』
思わず口にしてまった
「あ！僕、手のでかさは負けた事ないんっすよー」
ニコニコしながら、私の目の前に手を広げてかざす
だから……思わず自分の手を重ねてしまった……
しまった、やめておけばよかった……
一瞬しっかり目があって、パチパチと数回瞬きをした後泳ぐ視線
『ほんまやね！』
パッと手を離して、サングリアをグルグルかき混ぜる
目があった時の瞳の揺らめき……心臓かドクンと跳ねた
アンティパストを綺麗に盛り付けしてる彼を見る……前きた時は気づかなかったけど……かなり……カッコよくない？っていうか好きなタイプの顔なんやわ……
私の視線を感じたのか、ふと視線を上げた彼と目が合いそうになったから、慌てて逸らした。
「Aさんも大阪から来たんですか？」
アンティパストをちょこちょこ摘まんでると、作業が一段落した彼が話しかけてくれる。
『うん。てか、名前！覚えててくれてるんやね。やっぱりこういう仕事してたら、人の顔と名前覚えるの得意？』
「いやーー」
ギュッと片目を細めて少し難しい顔する
「正直、あんまり得意じゃないっすね……」
『そうなの？でも覚えててくれたやん？』
「まぁ、Aさんは特別っすね！」
特別……その言葉に一瞬喜んでしまった自分が恥ずかしい
「廉の従姉妹ですもんねー」
そういう事よね……私は一瞬何を期待したのか……
何かを誤魔化すように、サングリアをググっと飲んだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 701人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Riri(プロフ) - ericerestiaさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございました！！やっぱり付き合うきっかけって気になりますよねー。いづれ描きたいと思います。廉くんの反応も含めて考えてはいたのでそのうち形にできたらと思います。 (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 0b07168624 (このIDを非表示/違反報告)
Riri(プロフ) - あさひさん» そう言って貰えて嬉しいです！！付き合うきっかけになったエピソードは書いては消して、書いては消してでなかなか納得のいく物が出来上がらずにお蔵入りになってしまいました。また上手く纏まったら書きますね！！ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 0b07168624 (このIDを非表示/違反報告)
ericerestia(プロフ) - 岸くんのステキなラブストーリーありがとうございました。私も付き合うことになった瞬間や、それを廉くんが聞いたときのリアクションなど知りたいです。もしよろしければお願いいたします！ (2019年9月1日 14時) (レス) id: bfa1763544 (このIDを非表示/違反報告)
あさひ(プロフ) - 全然お腹いっぱいじゃないです！まだまだいけます！！もっと岸くんとイチャイチャしたいですー！！終わっちゃうのが寂しすぎます…(切実)二人が付き合うきっかけになった出来事とか読んでみたいです！いきなりのリクエストすみません… (2019年8月31日 22時) (レス) id: 1753a678de (このIDを非表示/違反報告)
Riri(プロフ) - あさひさん» あさひさん！コメントありがとうございます。私岸くんの1番の魅力ってそのギャップだと思っていて、それをこのお話で如何に表現できるかと思い書いてますので、伝わっててめっちゃ嬉しいです！ (2019年8月26日 22時) (レス) id: 0b07168624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Riri | 作成日時：2019年7月20日 6時
