太陽 #short story (ページ9)

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あれから1ヶ月くらいが過ぎた
けどあれ以来特に濱家さんからのアクションは何もない

それに加えてかまいたちさんは多忙を極めていて
このレギュラー番組の収録も毎週あるとはいえ
ギリギリに入られて、すぐに次の現場へ向かってしまう

もう少し余裕があった時は収録終わりに
少しだけお話したりできてたんだけど…

今日もすぐ出て行っちゃったしなぁ
なんて思いながら、片付けと次のセッティングをしに行こうと楽屋の方に向かった

『失礼しまーす』

"かまいたち様"と書かれた楽屋
もう誰もいないと思いつつも一応ノックをしてドアを開けると
そこにはまた、あの人がいた

「あれ、Aちゃん」

『濱家さん…！どうしてここに…』

「ちょっと次の仕事まで急に空きができてもうてさ、時間潰し。もしかして…片付けに来たん？」

『す、すいません何も知らなくてわたし…てっきりもういらっしゃらないかと思って』

「いやいやこっちこそごめんなー。ほんまさっきマネージャーからスタッフさんに伝えてもらったとこやってん」

わざわざ立ち上がって
こんなわたしにも本気で申し訳なさそうな表情を浮かべる濱家さん
きっとどこに行ってもこの態度は変わらないんだろう

相手は売れっ子の芸能人
わたしは週に一度会う番組のスタッフ
それ以上でも以下でもないのが当たり前なのに
やっぱり雲の上の存在なんだと実感させられた

『いえこちらこそすみません。では失礼させていただき、』

「なんか、ちゃんと話すの久しぶりやね」

『へっ……あ、そう、かもしれないですね』

濱家さんの言葉がわたしを引き止める

2人だけの空間を作るように
時間を止めるように

心臓の音だけがスピードを速めていた

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