太陽 #short story (ページ7)

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『……つめたっ！』

「おーリアクション100点」

突然頬に冷たい何かが触れて
顔を上げればなんだか満足そうに笑っている皓平がいた

『もう…なにいきなり』

「アイス、」

『えっ、あ…うんありがとう？』

「さっきのリアクションどこいったん。Aが暑い暑い言うから持ってきてあげたのに」

はい、と渡されたカップアイス
どうやら今わたしに食べる以外の選択肢はもうないらしい

「好きやんな？チョコ」

だけどそれはわたしの好きなチョコレート味で
彼の手の上にはバニラ味

こういうとこなんだよなぁ…と思いながら2人でカップを開けた

ひんやりしたアイスはさっきまでの暑さをみるみるうちに吸収していくようで
しばらく夢中になって食べていた

「……なに？」

『…いや？なんでも、』

半分くらい食べ終わったところで、口の中を満たすのは濃厚なチョコレート
そんな時ふと隣を見るとどうしても魅力的に映ってしまうのは…

皓平の食べているバニラ、一口欲しい

でも普段あーんとかしないしな…
引かれたら嫌だし…

「そんな視線だけずっと送られても困るわ」

『あっ、ご、ごめんつい…』

でもこれじゃあいつまで経っても彼には伝わらない
ひと口ちょうだい？
その一言を口にする勇気を振り絞ったその時だった

「A、」

『ん？…………っ、』

名前を呼ばれて振り返るのと同時に重ねられた唇から広がったのは
甘ったるいバニラの味だった

『…っ、皓平？』

「なんか暑さでおかしなったみたいやわ、」

『にしても急すぎ』

「でも正解やろ？」

『……うん、もう一回』

そう強請ってみれば、再び落ちた影

不器用同士だからこそ
わたしたちは全てを言葉にしなくても繋がっている

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