太陽 #short story (ページ5)

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「昨日はあんなに呼んでくれとったのに」

『……その、昨日っていうか、あれは…』

ダメ、思い出しちゃうよこんなの

朝だとか、そんなの関係ない
だって考えればまだほんの数時間前の出来事

何度目かの彼との最中
「下の名前で呼んで」とお願いされて
最初はためらったけれど流れに身を任せて初めて口にした

その時嬉しそうに笑ってくれた表情はまだ鮮明に脳裏に焼き付いている

「あの時言ったんは、そーゆーことしてたからってだけちゃうよ？」

『そう、なの…？』

「Aにはいつでも呼んでほしいねん、将企って」

そんなことを言ってくれるなんて思ってもいなかった
さっきよりもずっと、ずっと、彼の特別でいられることを身に沁みて感じる
好きすぎてどうにかなってしまいそうなくらいに

だけどそれだけじゃ終わらないのがリリーさんで

「それともあれか？そーゆー時やないと呼べへんのやったら俺はいつでも準備できるけど」

そう言っていつものクールな顔でTシャツを脱ぎ始める

え、もしかしてなにか勘違いされてる？
わたしの中の危険察知が働くのと同時に慌てて彼を制した

『待って待って…！わかったから、呼ぶから、ちゃんと

…将企くん』

「……なんかそれはそれでおもろないな」

『ちょ、人がせっかく勇気だしたのにそんな言い方！』

「ごめん、今からやったら2ラウンドくらいいけるかなーとか考えとったわ」

『ただの変態………』

「ふは、そんなん今更やろ？かわいいなーAは」

今のかわいいは間違いなくバカにされてる
そのくらい知ってるんだから！

必死の想いを込めて睨んでみたけれど
それもかわいいと言われただけで何の効果もなかった

『将企くんのばーか』

「…あーほんま俺今ギリギリで止めとるんやから、かわいすぎんのもそんくらいにしとき」

そう言い残して洗面所へ向かった背中に
戻ってきたらもう一度名前を呼んで抱きついてあげよう、なんてね

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