太陽 #short story (ページ39)

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Asei ページ39

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『なんでなん……っ、』

これで3回目
好きな人に彼女がいた

上手くいった試しが無いわたしの恋愛
毎回この人が運命やって思うのに
その願いはことごとく裏切られて花のように散っていく

もうこの公園のベンチに座って
涙を流すのも何回目なんやろう

思い出したくないのに次々と込み上げてくる過去に
虚しくなって暫くは泣き止めそうになかった

すると視線の先のスカートに
わたしの涙やないシミがぽつぽつと増えていく

『雨………』

少し遠くで遊んでいた子供たちが
焦った様子で公園からいなくなっていく

わたしはそれを座ったまま
ただただ見送ることしかできんかった

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「なにしてん」

どのくらいそこにいたんか分からない

すると突然わたしの周りだけ雨がなくなって
上から降ってきた聞き覚えのある声

『…………亜生、』

「アホちゃう？雨降ってんの気付いてる？」

『気付いてるわアホ…』

どうしてここに亜生がいるんやろ
なんで2つ傘持ってるんやろ

不思議に思うけれど
目の前で心配そうに眉を下げた彼を見て
心の底からまた涙が溢れてきた

「おい泣くなって…」

頬を濡らすそれが雨なのか涙なのか
区別なんてもう付かないはずなのに
亜生は瞼の下を優しく指で拭ってくれた

『なんで…』

「ん？」

『なんでそんな優しいん…』

いつも会えばすぐに悪態をついてくるのに
今日はそんな様子微塵も感じられへんくて

失恋の虚しさ故に
わたしが生み出した幻覚なんやないかと思うほど

「……やめよう思って」

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