太陽 #short story (ページ37)

今日:89 hit、昨日:324 hit、合計:126,648 hit

Moriyama.S ページ37

.

『見たよ』

「えっ、見たん」

『やって大阪の時もおもしろかったし』

少し久しぶりに見れた彼氏の顔

世間では塩顔なんてタイプが流行ってるけど
結局会えばこの漢らしい風貌が好きやって改めて思う

「ちゃうやん、どうせAはニューヨーク見たさやろ」

『ん、まあそれもあるけど』

「いや否定せんのかい！」

きっと晋太郎は気付かないんやろうな
これが照れ隠しやって

真っさらな気持ちで見取り図が、晋太郎が1番だよって
言えたらどんな反応するんかな
気になるけど言えないまま時間だけが過ぎていく

.

「オープニングどやった？」

『うん、まあまあ酷かったね』

「そうかー彼女贔屓に見ても酷かったかー」

『大丈夫？本家のファンに叩かれたりしてへん？』

「今んとこはな」

そう言って苦笑いしながら部屋着に着替えて
リビングに戻ってきた晋太郎

どかっと横に体重が乗っかって
なんだかそれだけでわたしの心は安心した

と同時に、いい歳したこのガタイいい大人が
人気アイドルの曲歌って踊ってたん思い出すと
めちゃくちゃ笑けてくる

「なに笑ってん」

『いや、ちょやっぱ酷かったなって…』

「俺らは至って真剣やったんやって！」

『真剣にやってあれはないって』

そんなことを言っていると
ふと、そういえば少し恥ずかしい想像を
思い浮かべてしまったことまで思い出してしまった

晋太郎の方を見る
言うか、言わへんか
頭の中で天秤にかける

『一個思ったことがあってん、』

「もうダメ出しは勘弁してな…」

『いや、その、全然ちゃうくて、』

「え、なに？」

.