太陽 #short story (ページ35)

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Kawai.Y ページ35

河井side

「おーいA大丈夫か？タクシー来たで」

『タクシー……はぁい』

かわいがってる後輩何人かを連れて飲み会
ほんまは2次会でカラオケでも行こうか思っとったけど
この子のせいで断念した

ちょっと目離したら足元ふらついて…
ほんま世話が焼ける

「ほら、乗ってや」

『えっと…ゆずるさんは…？』

そう言ってきっと無意識なんやろう上目遣い
酔うてるからか少し目元が赤くて

俺は心臓を鷲掴みにされたような感覚になった

「…分かったから、ほら奥座り」

『わーい』

俺の気も知らんと呑気な隣の後輩をよそに
とりあえず運転手さんにAん家の付近を伝えると
夜も更けた大阪の街並みを走り出した

.

「そうや水買うてきたんやった、飲むか？」

『ん…ありがとうございます…』

静かな車内にAが飲んだ水が喉を流れる音が響く
なんや分からんけど動揺してる俺

『ゆずるさんすいません…着いたら起こして、くだ、さい…』

「え？あーええよ」

なんて言った先に俺の肩に寄りかかってきた頭

動揺どころか今度は体が固まってしまった
こんなことになるんやったら
俺ももっと呑んで酔うとけばよかった

それならなんとでも言い訳できたはずやのに

「誰にでもこんなんしてるんちゃうやろな…」

.