太陽 #short story (ページ33)

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Kawanishi.K ページ33

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川西さんとお付き合いをし始めてから
なんとなく気に掛かっていたことがある

それは未だに苗字にさん付けでしか
彼を呼べないこと

年上だし、昔からの長い付き合いがある訳じゃないから
いくら付き合い始めたといっても
突然には馴れ馴れしくなんてできなくて

そんなことを考えていたら玄関のインターホンが鳴った

『お帰りなさい』

「ただいま、ん、ええ匂いしてる」

『今日は生姜焼きです』

「最高やん、はよ着替えてこよ」

このひとは、今わたしの彼氏なんだもんなあ

寝室に入っていく川西さんの背中を見送りながら
少しだけ自分に背伸びしてみたくなった

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「んーうまいなぁ」

『ふふ、よかったです』

「料理どこかで習ってたん？」

『いえ全然！ほとんど母の受け売りですよ』

「ちゃーんと家事してた子やったんやな」

もぐもぐしながら目を細めて微笑いかけられると
胸の奥がきゅーんとする

一生このひとにご飯作ってたいなって
そんな大それたことまで思えちゃう

『賢ちゃんは？』

「俺はもうまったくダ…メ、え？」

ちらっと目の前を盗み見ると
おそらく箸で掴んでいたであろうトマトが
茶碗のご飯の上に乗っていた

『ん？どうしたんですか？』

「えっ、あ、いや…俺の聞き間違いやったんか…？」

よかった、緊張したのはバレてないみたい

まだ頭の上にハテナを浮かべている彼を見ているのは
ちょっとだけ可笑しかった

「ごちそうさま」

『じゃあ片付けるんで賢ちゃんは休んでてください』

「………！やっぱり言うてる！」

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