太陽 #short story (ページ28)

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「えっ、マジ？」

『………』

「っ、ちょ、ほんま狡いわ」

何も言えずただ黙るしかないわたし
一方でリリーさんはなんだかまた焦っているようだった

「ちゃんと分かってくれとったんや」

『…違います！これはただ、』

「俺が言ったことの意味を考えてくれとったんやろ？」

『そんな…きっとリリーさんは誰にでも言ってるんだろうなって』

するといきなり肩を掴まれて
リリーさんと対面する体勢をとられた

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「Aちゃんはそんなんやない、って俺言うたよな」

『でも…』

「いきなり合鍵渡そうとしたんは悪かった、」

またわたしの心が動揺し始める
リリーさんの魔法にかけられてしまうかのように

「好き、Aちゃん」

『……っ、やめてください』

「やめん、本気やから」

『このままじゃわたし…』

好きになってしまう

きっとリリーさんが女の子好きなんじゃなくて
女の子はいつのまにかみんな虜になってしまう

おもしろくて、ちょっと抜けてて、
優しくて、大人の色気を放つこの人に

「好きになってくれたら後悔させへんよ、俺は」

『そんなの自信ないです…』

「じゃあ今ここで女の子の連絡先全部消そか？」

そう言って携帯を取り出したリリーさんは
本当に一つ一つ何の躊躇いもなく削除していく

『ま、待ってください』

「ん？」

『そこまでされたらなんか申し訳ない…』

「これは俺のAちゃんに対する覚悟やから」

ここまで来てしまったらもうわたしの根負けだ

きっと、もうずっと前から
わたしの心は奪われ始めていた

『リリーさん』

「なに？」

『たぶん、好きです』

「ふは、たぶんてなんやねん」

今はまだハッキリと好きを認められる自信がない
だけどそれを心配する必要もたぶんない

「まあええよ、これからもっと好きにさせる」

『よろしくお願いします』

「じゃあまずは手始めに俺ん家来てもらおかな」

引き寄せられたリリーさんの腕の中で聞いた言葉に
どうしようもなく心拍数が上がっていった

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