太陽 #short story (ページ25)

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『冗談ですよ』

「ボケ方が山内に似てきてんねんな…」

『仕方ないです、かまいたちさん好きなんで』

「……俺のことは？」

突然挑発的な目を向けてじりじりと距離を詰めてくる濱家さん
急な変化に戸惑いを隠せないわたしは後ずさるだけで

当たり障りのないことを言ったのが、良くなかった？

「なあA、言うてみて」

『な、なんか今日要望が多いですね』

「はい、話逸らさんの」

気づけば背中は壁にピッタリとくっついている

こんなことになるくらいなら
最初にカッコいいと素直に言っておけばよかった

『……き、です』

「聞こえへん」

『…………好きです、』

「ん、そやんな」

大きな手のひらに頭をゆっくり撫でられた

当然だけど、向こうからの好きは貰えない
それなのにわたしにだけ求めるなんて非情すぎる

『………抱いてください』

「えっと…それが答え？」

『もうなんでもいいです』

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目が覚めるとそこには
浴衣がはだけたまま横たわる濱家さんが眠っていた

…なんでこんなに好きなんだろ
絶対に幸せになれないって分かってるのに

ほっぺに触れようとしたその時だった

『…あ、』

「……寝顔見とったん」

『いや、別にそんな』

すると濱家さんはむくっと起き上がってきて
そのままわたしにフレンチキスを落とす

『昨日はごめんなさい、なんか無理やり』

「ええよ、誘われる側は新鮮やったし」

『…その、なんていうか』

「んー？」

『女の人は、カッコよすぎると逆に言葉にできないものなんですよ』

そう言うとまだ眠そうな瞼を何度か瞬きさせて
またベッドに体を沈ませた濱家さん

「俺はそれでもAにカッコいいて言うてほしいけどなあ」

伸ばされた左腕に手招きされて
わたしはまた、この不完全な恋に溺れていく

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