太陽 #short story (ページ13)

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Lily ページ13

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「お、見つけた」

『……！おはようございます、』

「ふは、ビビりすぎ」

『急に後ろから来るリリーさんが悪いです』

楽屋の掲示板の貼り替えをしていると
突然背後から顔を出したのはこの人

最近なにかと絡まれることが増えた危険人物だ

「今日はあと3ステかー」

『お忙しいのにこうして劇場出てくださるの、スタッフとしてもありがたいですよ』

だってほら、今もこうしてなんとか平静を保ってはいるけど
パーソナルスペースなんかガン無視の距離感
通りがかった他の芸人さんの視線が辛い…

そしてわたしはいつまで経っても
この人が纏う香水の匂いに頭がクラクラしそうになる

「なんか、また可愛なった？」

『…はい？』

「え、なんでそんな睨むん。まあその顔も可愛いけど」

脳内でリリーさん警報が鳴りはじめた

『…やめてください、揶揄うのは、』

「やからいつも言うとるやん、本心やって」

視界の端に映ったリリーさんの表情は
いつものポーカーフェイスで、本心なんて見えやしない

この人は女の子を堕とす言葉なんて
いくらでも囁ける人なんだから信じた方が負けなの
とにかく今は必死にそう言い聞かせるしかない

でも、足が動かない
早く罠から抜け出さないといけないのに

「…おっと、」

『ち、近いですって』

「Aちゃんが逃げようとするからやろ」

結局なす術もなく腕を捕まえられて
それによって対面してしまったお互いの体

『仕事ありますし、ほら楽屋の人も増えてきてますし…』

「ん、ならちょうどええわ」

ちょうどいい？
言葉の意味も分からないまま
リリーさんが一歩、また一歩と距離を詰める

背中が壁にぶつかってしまったのと
綺麗な顔がなにかを仕留めるように寄せられたのはほぼ同時

咄嗟に目を瞑った

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