Kawanishi.K ページ11
川西side
「うーん…」
「賢ちゃんさっきからため息多いで」
「うーん………」
「いやさっきよりも重たいやつやるんやめてよ」
寄席の合間、楽屋で思い出すんは昨日の出来事
気づかんうちに相当唸ってたらしくゆずるが心配そうに声を掛けてきた
「やってもうたんかなぁ」
「なんやねん、まさか女か？」
「まあそうやねんけどさぁ」
「えっ否定せんなんて珍しい」
ゆずるの言う通り俺は昔からあんまり恋愛とか彼女のこととかをべらべらと人に喋るタイプじゃない
やけど今日ばっかりはどうも調子がおかしくて
それだけ昨日Aに言ってしまったあれこれを
今になって後悔してんねん
あんな顔させたかったわけちゃうのに
…この歳にまでなってダサいなあ、俺
「……それは100:0で賢ちゃんが悪い」
とりあえず昨日の一部始終をゆずるに話してみた
まあ分かってはいたけど、そんな返事が返ってきて
「やっぱそうやんな」
「昔っからそういうん不器用よなぁ」
「ほんま…昨日の俺どうかしてた」
もうただの悪足掻きにしか聞こえへんけど、
でも俺やって、Aのことを想ってのことやった
こんないつ終わるかわからんような不規則な仕事してんのに
毎日俺が帰ってくるまで起きてるし
外で済ませてきてしまうことも多いのに
ご飯やって必ずといっていいほど作ってある
そこまでせんでも、って思うほど俺の為にしてくれることが
Aの負担になってるんちゃうかって不安に駆られたんや
「気持ちは分からんくもないけど、こういう職業してんねんし」
「ただでさえ我慢させてること多いから余計にやで…」
「で、そんまま大阪2泊ってわけか」
ほんまに、幸か不幸か今日と明日は大阪仕事やった
結局気まずいまま朝になって
何も言わんと家を出てきてしまったからLINEすらしていない
「まあ賢ちゃんもそんだけ悩むくらい大事に思ってんねやろ」
「当たり前や、もうこれ以上おらんと思ってる」
「そんなら何がなんでもその子の手、離したらあかんで」
ゆずるは俺の肩をバシッと叩いて楽屋を出て行った
「手離したらあかん、か……」
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作者名：みゅん | 作成日時：2021年7月27日 21時
