太陽 #short story (ページ2)

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「…なんか距離感じるねんけど」

『そう、ですか…？』

「もうちょいこっち」
　

『わ…』

食器洗いを終えて、おそるおそる川西さんの座るソファにちょこんと腰を降ろしたら少し不機嫌そうな表情と言葉を向けられた

どうすることもできないでいると右腕をとられて
せっかくの3人掛けソファがもったいないくらいに
わたしと川西さんの間には空気すら入る隙も許さないくらいに近づく

しばらく沈黙が続いて
何か話さなきゃと思うほど頭の中は真っ白になっていく

お願いだからこの高まっていく鼓動だけはバレないで

ぎゅっと目を瞑ったその時、川西さんが口を開いた

「…なぁAちゃん」

『…はい』

「俺、どうでもええ女の子家に上げる程もう若くないよ」

低く真剣な声がまっすぐ耳に届いた

『…川西、さん？』

経験が少ないわたしでも
その言葉の意図はなんとなく読み取れてしまう
だけど…………だけどそれを素直に受け止めてしまっていいのか分からない

分からなくて彼の名前を呼ぶしかできなくて

「好きやで」

目が、合った

『……わたしも、好きです』

レンズの奥の瞳にはきっと何もかも見抜かれていて
嘘なんか付けっこなかった

嬉しそうに微笑んだ川西さんはそのままわたしを優しく抱き寄せて
安堵のようなため息を漏らした

「ほんまに、ええの…？」

『そんなのわたしの台詞です』

「漫才しか取り柄ないような37のおっさんやで？」

『逆にそんな魅力的なおっさん世界中探しても川西さんしかいません』

「やっぱおっさんはおっさんなんやな…」

『ちょ、そこだけ切り取ってへこまないでください！
同世代の中でも群を抜いて川西さんはかっこいいんですから』

あっ……つい勢いで熱くなって
なんて恥ずかしいことを言ってしまったんだ

そう気付いてもすでに遅い

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