Bitter Cream Soda

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嶺亜くん‥。

初めてテレビで見た時、その可愛らしい容姿に釘付けになった。

同じくらいの歳なのにお仕事がんばってる事。

それから雑誌の記事で読んだ意外と男っぽいキャラにハマって。

気がつけば嶺亜くんを推し続けて12年くらい。

最近はブログやYouTubeで嶺亜くんの考えてる事や仕事に対する姿勢を聞かせてもらえる機会も多くて。

その度に尊敬の気持ちと改めて嶺亜くんが好きだなぁって気持ちが強くなった。

悩んでる時も受験の時も国家試験の勉強の時も仕事で辛い時だって。

いつもいつも。嶺亜くんの存在に励ましてもらってた。

嶺亜くんはわたしにとっての特別な人。

そんな人に実際に出会えるなんて。

なんて幸せなんだろう‥。

そんな風に思って自分の幸運さを噛み締めて、ひとりニヤニヤしたりもした。






休日当番医の代休で休診の日。

診療所の前をたまたま通ったら診療所に入って行こうとする嶺亜くんの姿が見えた。

今日休診日ですよー、と声をかけに行こうとしたら、なんだか顔色が悪いように見えて心配になる。

「中村さん、すいません今日お休みなんです‥」

「あれ？Aちゃん。ユニフォームじゃないから一瞬わかんなかった」

いつもの嶺亜くんの表情で笑いかけてくれたけど、心なしか声に元気が無いように聞こえて。

一瞬迷ったけど、カバンから鍵を取り出した。

「‥中、入ってください。電気ですよね？」

明日の朝の準備の当番だからたまたま鍵持っていて良かった、と思いながらドアを開けて、

内緒ですよ、とヒソヒソ声で言いながら嶺亜くんを中に案内した。




「勝手に電気使って、Aちゃん後から怒られない？」

「怒られてもいいです。その時は謝りまくります。それより嶺亜くん、しんどそうな顔してたから‥」

電気治療のセットをしながら、あ、嶺亜くん、って本人の前で呼んじゃった‥と気付いて恥ずかしくなる。

でも嶺亜くんはそれには気を留めてない様子で治療台の上でひとりごとのように話し始めた。

「プロ目指してスケボーやってた時に痛めた足首、普段はいいんだけど気圧の関係か妙に痛む時あって‥踊る時しんどくなると、ここ来てる。

スポーツ医学の有名な病院とか色々行ったけど良くなんなくて。

ここ空いてるしさ。笑。

小さい頃から来てたし、なんか、ここに来るとホッとするんだよね」

嶺亜くんはそう言ってちょっと笑った。

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