8 ページ8
もう、諦めよう‥。
同じ人に10年越しの片想いをして、何度も諦めようと思いながら忘れられないでいる自分に、我ながら溜息が出る。
わたしがずっと前から琳寧くんの事を知っていて、タオルを渡した人だって気付いているかどうかわからない。
でも帰り際に琳寧くんの腕を掴んだのは事実で。
それを琳寧くんがスルーして帰っていったのも事実。
それって振られたって事だよね‥。
悶々としながら迎えた実習先の付属中の文化祭の日。
見に行ったら、琳寧くんと会っちゃう。
どうしよう‥。
正直気が引けた。
でも生徒と約束したし、
何よりみんな頑張って校内合唱コンクールの練習してたのずっと見てたから応援しに行きたかった。
なるべく目立たない場所で‥。
コソコソと後ろの方に潜んでいたけど、すぐに生徒に見つかってしまった。
「先生！こっち！席取っておいたよー！」
ご丁寧に椅子に名前まで付けてくれてた。
案の定、琳寧くんの隣の席が用意されてて。
苦笑いしながら挨拶したけど、ちょっと久しぶりに見る琳寧くんの笑顔が眩しかった。
世界で一番会いたい人だけど、今は世界で一番会いたくない‥。
せっかく隣に座ってるのに何を話したらいいかわからなくてひたすらに合唱を聞いた。
自分と琳寧くんが受け持ったクラスの出番。
みんな、頑張ってる‥。
感動して涙が止まらなかった。
教育実習の最終日、実習生仲間の女の子たちはみんな泣いてたけど、わたしは涙を堪えた。
でも今、生徒たちみんな頑張ってイキイキと歌ってるのを聞いて涙がどんどん溢れてきて、我慢出来なかった。
苦しいくらいに泣けてきてしまった。
隣でそれを見ていた琳寧くんはハンカチを貸してくれて。
それもびちゃびちゃになるくらい泣いて
鼻水まで出てきたわたしに、
爆笑しながらティッシュをくれた。
合唱コンクールが終わって、生徒に挨拶した後、たくさん泣いてしまったのが恥ずかしいのとやっぱり琳寧くんと顔を合わせづらくて‥
こっそり帰ろうとしたけど、琳寧くんは
「送ってくよ」
って言ってくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りぷる(プロフ) - ^_^さん» コメントありがとうございます！嬉しいです♪ 女の子がお相手のお話、また書きたいなぁと思っていました！続編になるか、別の設定になるか分かりませんが、ちょっと大人な感じも混ぜながら書いてみたいと思います。気長にお待ちいただけると嬉しいです♡ (2022年5月19日 18時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - こちらも読ませて頂きました。どのお話も素敵でした。みんならしさがでていて、楽しかったです！このお話達の続きも読んでみたいし、裏のお話も描いて頂けたらとっても喜びます(*^^*)ご無理の無い範囲でお願いできたら嬉しいです。 (2022年5月19日 14時) (レス) @page43 id: b1e5679418 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぷる | 作成日時：2022年2月26日 16時
