10年越しの赤い風（Rinne.S） 1 ページ1
大学の奥の奥、細い小径を入っていったところに、男子寮があるらしい。
古い洋館を改修したその蔦の絡まる建物は、「緑蔦寮」と言うなんともベタな名前で。
正式には大学の公式な寮ではないみたい。
定員オーバーで本来の寮に入れなかった人の救済措置から始まったらしいけど、大人数の規則が厳しい寮から逃げ込んできた人やちょっとワケありの人が多い、それから大学の創設者である洋館の持ち主の末裔が住んでる、なんて噂もあって。
その古めかしい洋館の雰囲気も相まって、近寄りがたい場所、って認識だった。
わたしがどうしてその近寄りがたい場所に近寄っているかというと。
この洋館に、王子様が住んでいるから。
蔦の絡まる寮の前まで勢いで来たけど、偶然会える確率は低い‥かな？
どうしよう。
そう思っていたら
白い自転車に乗ったふわふわの長い髪の女の子がやってきて寮の前で自転車を停めた。
遠くからわたしにペコッと頭を下げて、慣れた感じで寮の中に入っていく。
あれ？男子寮なのに女の子入っていいの？家族？兄弟がいるとか？
そう思っていたら、すぐにチェックのシャツを着た男の子と一緒に出てきて仲良さそうにふたりで何処かに行ってしまった。
あ、タイミング逃した。
あの子たちに聞けばよかった‥！
どうしよう。今日は帰ろうか‥ウロウロしていると
「誰かの彼女？」
振り返るとそれはそれは可愛い男の子がいた。
なんて綺麗。
男の子‥でいいんだよね？声も服装も雰囲気も男の子だけど、女の子です、と言われればそれも納得してしまいそう。
そこら辺の女の子じゃ泣いて謝りそうな美しさ。
‥彼女？そりゃ彼女になれるならなりたいけど。今は王子様と再会する事から始めないといけない。
「違います！」
「‥声でか。元気だねー。笑」
笑いながらその美しい男の子は寮の中に入っていった。
あーまたタイミング逃した！
今の人に聞けばよかったのに！
‥なにモタモタしてるんだろ、わたし。
モタモタするの嫌いなはずなのに。
王子様の事を思うと、ずっとモジモジモタモタして‥。
我ながら嫌になる。
‥嫌になるけど、絶対消えてくれない。
わたしの中に小さく光る赤いキラキラ。
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りぷる(プロフ) - ^_^さん» コメントありがとうございます！嬉しいです♪ 女の子がお相手のお話、また書きたいなぁと思っていました！続編になるか、別の設定になるか分かりませんが、ちょっと大人な感じも混ぜながら書いてみたいと思います。気長にお待ちいただけると嬉しいです♡ (2022年5月19日 18時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - こちらも読ませて頂きました。どのお話も素敵でした。みんならしさがでていて、楽しかったです！このお話達の続きも読んでみたいし、裏のお話も描いて頂けたらとっても喜びます(*^^*)ご無理の無い範囲でお願いできたら嬉しいです。 (2022年5月19日 14時) (レス) @page43 id: b1e5679418 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2022年2月26日 16時
