白緑 1 ページ4
「怖いんだ‥」
「‥？え‥？」
力無く、唇だけを動かした声にならない声は、矢花の耳には届きそうで届かなかった。
矢花を失うのが怖い。
でもそれ以上に矢花の未来を奪うのが怖い。
俺の存在が矢花の可能性を奪ってるんじゃないか？
その事に気づいてから不安は止められなくなった。
矢花への想いは、決して叶う事のない片想いだと思っていた。
矢花への気持ちを自覚した時、誰にも知られないように自分の気持ちを心の奥底にそっと隠した。
それでも一緒に居られると嬉しくていつも笑い転げていたけど、
いつしか矢花の真っ直ぐな瞳を直視出来なくて目を背けるようになった。
芽生えてしまった想いを摘み取る事も出来なくて自分でも気持ちを持て余していた時、
思いつめたような顔をした矢花から
「ずっと好きでした」と
告げられた。
想いが通じ合って、最初は幸福感でいっぱいだった。
仕事帰りに少し会って夜は短い電話をするだけで満ち足りた気持ちになれた。
でも、ぬくもりを分け合った夜からは一緒に居たい気持ちを抑えられなくなった。
元々俺の事を甘やかしがちだった矢花は俺の望みを全て叶えようとした。
夜の電話で少しでも「会いたいね」なんて言うと、夜中でも「今から行きます」と言って会いに来てくれた。
「俺も会いたかったから」
ついさっきまで仕事で一緒だった日でも何日も会ってなかったかのような顔で抱きしめてきた。
そのうちに昼も夜も離れたくなくて別れ際の切ない顔をふたりとも隠せなくなった。
熱にうかされたようにお互いを求めあった。
「一緒に居たい」
望みを叶え合うために多少の無理をしても時間を作った。
しばらく経った日の番組収録、バンドの曲で、珍しく矢花がミスをした。
ワンフレーズ丸々とばした。アレンジを知らない人には分からないだろうけど、もちろんメンバーはみんな気付いた。
生放送じゃないけど一発撮りだからやり直しもきかない。
「気にすんな」
みんなフォローしてたけど
矢花はいつまでも俯いていた。
疲れさせた俺のせいだ‥
自責の気持ちもあったけど
暗い目をした矢花をひとりにしたくなくて結局はその夜も一緒に居た。
そのうちに矢花が最近作曲していない事に気づく。
「最近スランプで‥」
なんて言うけど、前は何日も徹夜するくらい熱中していた。
俺が矢花から時間を奪ってるから‥
ますます自分を責めた。
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りぷる(プロフ) - 靴下さん» コメントありがとうございます！励みになります！素敵な感想を書いてくださってとでも嬉しくなりました。拙いお話ですが、またお読みいただけると嬉しいです。 (2022年1月6日 5時) (
レス) @page39 id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
靴下 - 素敵なお話ありがとうございます！特に赤緑の、お互いへの信頼感がつくる2人だけの世界が大好きです！虹色mixの、それぞれの関係性と個性の違いをよく考えられていて6人がもっと好きになりました！更新楽しみにしております！ (2022年1月6日 2時) (レス) @page42 id: 1eafe779d8 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさん♡ コメントありがとうございます！ いつも本当に励みになります。かわいいって言ってもらえて嬉しいです。名無しさんも更新楽しみにしてます！ (2021年11月22日 2時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！主さんの書かれる緑くんがとってもかわいいです❤︎ (2021年11月21日 23時) (レス) id: 0ca7a49390 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさん！いつもコメントくださってありがとうございます（╹◡╹）♡ とっても嬉しいです！名無しさんの更新もいつも楽しみです！ (2021年11月11日 20時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2021年11月6日 21時
