3 ページ47
その瞳を見たらたまらなくなって思わず琳寧を抱き寄せた。
琳寧‥。
抱きしめる力が強くなる。
俺の腕の中で小さな声で琳寧は言った。
「ねぇ克樹。琳寧、克樹のためだったらなんだって出来るよ。‥誰かを傷つけたりとか、悲しませたりはしたくないけど、それ以外ならなんでも」
琳寧のその言葉に、今度は俺が首を横に振った。
「克樹のためにがんばったり、我慢したりする事は、琳寧にとって辛い事じゃないんだよ」
我慢って何？
琳寧にそんな事を言わせてしまった。
そう思ったら胸がギュッと痛くなった。
琳寧‥琳寧‥そんな事言わないで‥
その言葉を言うのももどかしくて、
琳寧の唇を塞ぐように自分の唇を押し付けた。
唇を合わせるだけの単純なキス。
でも、重ねた唇がすごく熱く感じた。
長く唇を合わせて、ゆっくりと唇を離した後に琳寧は
「ずっとこうしたかった‥」
って言った。
「うん‥」
俺はそれしか言えなかった。
でも、俺もやっとわかった。
ずっとこうしたかったんだって。
琳寧の心が俺を求めているように、俺の心も琳寧を求めているんだって。
琳寧が泣いているみたいに見えてそっと頬に触れたら、琳寧は目を細めて恥ずかしそうに笑った。
それからようやくふたりが始まった。
誰にも内緒だけど、ふたりだけの幸せな、小さな世界。
お互いを宝物のようにそっと抱きしめ合う。
琳寧と抱き合っていると、不思議な気持ちになる。
海の底でふたりして漂っているような、不思議な感覚。
見上げる水面はずいぶんと遠くにあるのになぜか光の届く、明るい海にいるみたい。
何度目かに抱き合った後、琳寧にそれを告げたら、ピンときてないような顔してそれを誤魔化すようにちょっと笑ってた。
それから
「ふたりなら海の底でも怖くないね」
って言ってくれた。
それが嬉しくて、愛おしくて‥俺はまた琳寧をそっと抱き寄せて髪に頬を埋めて
「うん‥」
それだけ言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りぷる(プロフ) - 靴下さん» コメントありがとうございます！励みになります！素敵な感想を書いてくださってとでも嬉しくなりました。拙いお話ですが、またお読みいただけると嬉しいです。 (2022年1月6日 5時) (
レス) @page39 id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
靴下 - 素敵なお話ありがとうございます！特に赤緑の、お互いへの信頼感がつくる2人だけの世界が大好きです！虹色mixの、それぞれの関係性と個性の違いをよく考えられていて6人がもっと好きになりました！更新楽しみにしております！ (2022年1月6日 2時) (レス) @page42 id: 1eafe779d8 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさん♡ コメントありがとうございます！ いつも本当に励みになります。かわいいって言ってもらえて嬉しいです。名無しさんも更新楽しみにしてます！ (2021年11月22日 2時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！主さんの書かれる緑くんがとってもかわいいです❤︎ (2021年11月21日 23時) (レス) id: 0ca7a49390 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさん！いつもコメントくださってありがとうございます（╹◡╹）♡ とっても嬉しいです！名無しさんの更新もいつも楽しみです！ (2021年11月11日 20時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぷる | 作成日時：2021年11月6日 21時
