白緑 1 ページ33
後輩の楽屋に遊びに来てって言われた、と嬉しそうに出て行っただかさんが、30分後、仏頂面して帰ってきた。
「？‥おかえりなさい」
「‥ただいま」
あー。何か言われてきたな。
気付いたけど、放っておく。
黙って隠しておいたプリンを差し出すと、
何も言わずに食べ始めただかさんは、半分食べたところでポツリと話し始めた。
「矢花が俺の事甘やかしてるんだって。
‥それは良くないんだって。そう見えるんだって。
だから矢花と距離を置いた方がいいんだって！」
言ってるうちにヒートアップして声が大きくなってきただかさんは、そこまで言って涙目になりながら残りのプリンを食べ始めた。
「へー」
アイツ、若いのに良く見てるなー。俺とだかさんの関係見抜いたんだ。それにだかさんに敢えて直接言うなんてなかなか策士だ。頭のいい子なんだろうな。
「『へー』ってそれだけ？！」
だかさんは怒りの矛先を俺に向けたように頬を膨らませて、バンバンとテーブルを叩いた。
「いや‥甘やかしてるのは事実ですし‥だかさん何て言ってきたんですか？」
「‥ご忠告ありがとう、って。それしか言えなかった‥」
だかさんはそう言ってしょんぼりしたように肩を落とした。
その姿が可愛くて仕方なくて、思わず吹き出した。
「‥！やばな！」
だかさんは一瞬怒ったフリをしたけど、すぐにまた悲しげな瞳になった。
「なんでアイツ、そんな事言ってくるの？俺の事、怒らせてなんになるの？」
‥決まってるじゃないですか。
あなたに振り向いてほしいからですよ。
どうしても手に入れたいモノがあれば、悪者になる事も厭わない、そう思ってなんでも出来るんですよ。
‥かつての俺がそうでしたから。
だかさんの隣をキープ出来るようになるまで、色んな手を使った。
だかさんに気づかれないようにライバルたちを牽制して、自分だけを見てもらえるように画策した。
だかさんの前ではそんな事匂わせないように、全てを受け止めて笑い飛ばした。
甘やかしてるのなんて百も承知だ。
それをきのう今日だかさんを知ったヤツに良くない、なんて言われたくない。
‥いや、正しいか正しくないかで言ったらきっと正しくはないんだろうな。俺とだかさんの関係。
真っ直ぐに清らかに生きてきただかさんを、俺が日向じゃない道に引き摺り込んだ。
‥愛しくて。
恋しくて仕方なくて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りぷる(プロフ) - 靴下さん» コメントありがとうございます！励みになります！素敵な感想を書いてくださってとでも嬉しくなりました。拙いお話ですが、またお読みいただけると嬉しいです。 (2022年1月6日 5時) (
レス) @page39 id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
靴下 - 素敵なお話ありがとうございます！特に赤緑の、お互いへの信頼感がつくる2人だけの世界が大好きです！虹色mixの、それぞれの関係性と個性の違いをよく考えられていて6人がもっと好きになりました！更新楽しみにしております！ (2022年1月6日 2時) (レス) @page42 id: 1eafe779d8 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさん♡ コメントありがとうございます！ いつも本当に励みになります。かわいいって言ってもらえて嬉しいです。名無しさんも更新楽しみにしてます！ (2021年11月22日 2時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！主さんの書かれる緑くんがとってもかわいいです❤︎ (2021年11月21日 23時) (レス) id: 0ca7a49390 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさん！いつもコメントくださってありがとうございます（╹◡╹）♡ とっても嬉しいです！名無しさんの更新もいつも楽しみです！ (2021年11月11日 20時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぷる | 作成日時：2021年11月6日 21時
