赤緑 1 ページ33
「琳寧が克樹の事守ってあげる」
琳寧はよくこの台詞ドヤ顔で言うけど
いったい何の敵から守ってくれようとしてるんだろう？
世の中そんなに悪意に満ちてない。
こちらが武器を持ってない事がわかれば、大抵の人は優しくしてくれる。
もちろん、仕事でも学業でも目標とするべき立ち向かう物はあるけど、
それは敵じゃなくて夢の一種だ。
「克樹の事守ってあげるために鍛えてたら筋肉ついた」
これもよく言うけど、多分違う。
琳寧の趣味と実益を兼ねて鍛錬した成果なだけ。
琳寧の目には俺の周りにはモンスターだらけに見えてるんだろうか？
そんなにマッチョになって何を目指してるの？
聞きたいけど、本人が楽しそうだからやめておいた。
まぁ、確かに琳寧に役を与えるとしたら「騎士」が似合いそうだ。
チェスならナイト、将棋なら桂馬。
真っ直ぐにしか進めない。
突き進む事で周りを守ろうとする。
でも実際、琳寧を守ってあげてるのは俺の方だと思ってる。
琳寧は優しすぎて、人の気持ち考えすぎて、悩んでる人や機嫌の悪い人と一緒に居ると、負のオーラを浴びてくるのか自分までテンション下がってくるみたいで。
ヨレヨレになって俺の元に帰ってくる時がある。
困ったような八の字眉毛でため息ついて。
分かりやすく落ち込んでるけど何も言わない。
俺も何も聞かないけど、
荷物をどかして、自分の隣に空間を作る。
ぽすっ、と音を立てて隣の椅子に座る琳寧が肩にもたれかかってくるのを黙って受け入れて
「おかえり」
って言うと
「‥ただいま」
まだちょっと暗い声で言う。
頭を撫でたりするのは照れくさくてしないけど
寄りかかる琳寧を支える位は俺だって鍛えてるつもり。
しばらくするといつもの琳寧に戻って
「ねぇ克樹」
って他愛無い話が始まる。
滅茶苦茶明るいけど、そのくせ傷つきやすくて、繊細で。
そんな琳寧のシェルターでいたいな、って思ってる。
「‥琳寧、そんなに落ち込んで帰ってくるくらいなら、ウロチョロしないで楽屋にいなよ」
「‥いいの？」
「いいもなにも。ここ琳寧の楽屋だし」
「‥だって。克樹の勉強の邪魔しちゃ悪いかと思って」
「何も邪魔じゃない。今論文抱えてないし。‥ていうか、俺にまでそんなに気を遣わなくていいよ」
そう言ったら琳寧は珍しくちょっと照れたように笑った。
「‥わかった」
つられて俺も笑う。
琳寧の笑顔は周りを明るくする。
俺もいつもそれに助けられてきた。
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りぷる(プロフ) - ベルマークが100個１００個さん» コメントありがとうございます♡感想言っていただき励みになりました。なかなか更新出来ていませんが、これからもお読みいただけると嬉しいです！ (5月14日 17時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
ベルマークが100個１００個 - 面白いと思いますこれからも期待してます (5月14日 16時) (レス) @page33 id: 9c8e27407b (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさんコメントありがとうございます！嬉しいです！あったかいお言葉いただきやる気が出ました！名無しさんの事も応援してます！ (2021年9月8日 16時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 遅れましたが移行おめでとうございます〜！りぷるさんが描く白さんが大好きです……！これからも応援してます(^^) (2021年9月8日 15時) (レス) id: 8d128bf771 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2021年9月4日 11時
