（白）黄緑 1（tricolor 1） ページ3
矢花に、克樹をさらわれた。
こんな日がいつか来るだろうなとは、薄々感づいていた。
でも心のどこかで信じていた。
克樹は俺から離れていかない、って。
恋愛って早いもの勝ちじゃない。
先に好きになった人の勝ちでもなければ、
先に好きって伝えた人の勝ちでもない。
先に好きになったのは俺で、
先に好きって伝えたのは矢花。
そして、克樹は矢花の告白にOKした。
つまり、そういう事。
俺がちゃんと好きって伝えてたらどうなってたかな。
頭の中何度も繰り返すけど、タラレバ言ったって時間は戻ってこない。
「嶺亜くん、嶺亜くん」
って、克樹が仔犬みたいに俺の後ついてきてた制服の頃。
ホントはあの頃から克樹の事、かわいい、って思ってたけど、みんなに冷やかされるのが嫌で、ワザと冷たい態度取ったりした。
でも二人きりの時にはこっそり頭を撫でたりしてた。
俺から離れていかないように。
同じグループになった頃克樹はずいぶん大人っぽくなってたし、男っぽくなってた。
でも相変わらず俺の事が大好き、って瞳で隣に来た。
なんでも相談出来る頼れる仲間になっても心の中は変わってないって思ってた。
‥矢花が来るまでは。
矢花はあっという間にみんなと仲良くなった。
人の懐に入るのが上手い。
そして人を甘やかすのが上手い。
優しくて面白くて、みんな矢花のそばに行きたがった。
‥克樹も。
頭の回転が速い同士、話してて楽しいんだろう。
ふたり連れだって帰って行くのが多くなってた。
でも別に嫉妬したり心配したりはしてなかった。
俺だって矢花の事が大好きだし、信頼してた。
「嶺亜くん‥俺だかさんの事好きになってもいいですか？」
矢花にそう聞かれるまでは。
「それ俺の許可いる？」
精一杯の明るい声で言ったつもりが、矢花はクスリとも笑わなかった。
「俺、嶺亜くんの事も大好きですから」
「そりゃどーも」
おどけた声は空回りする。
「いいですか？俺、本気出しても」
「俺が駄目って言ったらやめれるワケ？」
「‥嶺亜くんのためなら」
真っ直ぐな瞳を直視出来なくて目を逸らした。
「そもそも人の感情他人がどうこう言える話じゃない」
俺のその言葉に、矢花はそれ以上なにも言ってこなくなった。
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りぷる(プロフ) - ベルマークが100個１００個さん» コメントありがとうございます♡感想言っていただき励みになりました。なかなか更新出来ていませんが、これからもお読みいただけると嬉しいです！ (5月14日 17時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
ベルマークが100個１００個 - 面白いと思いますこれからも期待してます (5月14日 16時) (レス) @page33 id: 9c8e27407b (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさんコメントありがとうございます！嬉しいです！あったかいお言葉いただきやる気が出ました！名無しさんの事も応援してます！ (2021年9月8日 16時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 遅れましたが移行おめでとうございます〜！りぷるさんが描く白さんが大好きです……！これからも応援してます(^^) (2021年9月8日 15時) (レス) id: 8d128bf771 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2021年9月4日 11時
