君を酔わせて(橙) (ページ2)

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sweet 02 ページ2

今日は散々な1日だった。

仕事でミスをして、当たり前のように残業して、上司からもセクハラまがいのことをされて。

ミスがなくても残業、上司からのセクハラはほぼ毎日のようにあるから慣れてしまったけど、今日は本当に辛かった。

なんとか仕事を終わらせて退社し、スーパーでお酒でも買って帰ろうかな、と思いながら歩いていた時に目に入ってきたこぢんまりとしたバー。

普段あまりこういうところには行かないけど、なんだか今日はやけになってて。
気づいたらそこに足を踏み入れていた。

店内にはちらほらとしかお客さんがおらず、心地よいクラシックが流れていて居心地良さそうな感じ。

カウンターの端に腰掛けて、大好きなカシスソーダを頼む。

やっぱり缶チューハイとは違うなあ…なんて思いながら飲み進めていると、ふと横から視線を感じた。

視線を感じる方に目をやると、1人の男性がこちらを見ていた。

綺麗な顔してるなあなんて思いながらも、ちょっと気まずくてすぐに視線をグラスに戻す。

…ここの雰囲気に飲まれてるせいなのか、酔いが回ったせいなのか、ふと今日の出来事を思い出してしまい涙が溢れる。

ここで泣いちゃダメだ、と思うけど意に反して涙はどんどん溢れてきてしまう。

…ダメだ、これ飲んだら帰ろう。

そう思い、もうほとんどないカシスソーダを一気に飲み干し、お会計をしようとマスターに声をかけようとしたら。

「…これ、あちらのお客様からです」

と、逆にマスターから声をかけられた。