検索窓
今日:29 hit、昨日:0 hit、合計:26,368 hit

[無印]夢路[ハーデス]※ ページ35

この世界で最も清らかで美しいもの、、

それを考えてみて、死を連想するのは私だけではないと思う。


「綺麗な花、、」


・・・これは、水仙かな?

しゃがんでその白い花びらを撫でる。

きっと、、辺り一面その花で覆われているこの空間は私の知っている現実から切り離された世界なのだと思う。

あれこれ考えあぐねていれば、サクサクと後ろで誰かが歩いてくる音が聞こえる。


「また会ったな、A。」

「・・・そうですね。」


すぐ後ろにその人はいる。

でも、振り返れない。


「その花を気に入ったのか?」

「ええ、、今まで見た中で一番。」

「・・・そうか。」


姿も表情も、、言ってしまえば人であるかさえも解らない。

声しか解らないその人と、奇妙な関係を持って暫くとなった。

得体の知れない人だけど、どこか安心できる、、

・・・私にとってはそんな人だった。


「もう、時間のようだな。」


その言葉を合図に、この世界の天井に穴があく、、光が射す。


「また、話せますか?」

「無論だ、、そうだな、今宵はお前に花を贈るとしよう。」


楽しそうな声を最後に私は目が覚める。


「花、か、、」


・・・結局、この日を境に夢の中であの人を会う事が叶わなくなってしまった。

夢を見るまでは1人でいる事なんて慣れていたのに、今は虚しい。

そして無意識のうちに歩いていたのは小さな水辺。


「・・・あっ。」


そこにあったのは妖しい魅力を持ち、たった1輪で咲いている水仙。

もしかして、、そんな期待で水仙に駆け寄る。

その花を手折ろうとした時だった。

・・・大地が割れたのだ。

強い力で手を引かれ、私はあの世界に連れられる。


「迎えに来たぞ、A。」

「貴方は、、?」


いや、本当は聞かなくても解る。


「余の名はハーデス。お前と夢路を辿った者だ。」

「夢、、」


ならば、これも夢なのだろうか?


「これは現実だよ、A。」

「・・・何故?」

「お前が欲しかったからだ。」


・・・連れられた先には水仙の花畑。


「ここで誓え、、余と共にいる事を。」


ハーデスはそう言うと、Aの手に口付ける。

それだけで頬を赤らめる彼女が、冥王たるハーデスには初々しく映る。


「・・・返事は?」


そんな事、どうせ私が口にしなくても解っているはずなのに。

でも、、


「誓います。貴方といる事を、、」


誓い合えば、2人は手をとって歩み出す。

白い花畑ではその2人だけが鮮やかに存在していたのだった。

[無印]愛し愛され[アフロディーテ]※→←[無印]私の太陽[ハーデス瞬]※



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
34人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みくも。(プロフ) - リクエストでアスミタ様、シャカ様を御願いします!! (2018年8月15日 1時) (レス) id: f0d852326e (このIDを非表示/違反報告)
菜穂 - リクエストで夢神ズで愛してるゲームお願いします (2018年3月10日 19時) (レス) id: c8ec8f5264 (このIDを非表示/違反報告)
ハーデスLOVE - 薄紅梅さん» またリクエストをさせて下さい。前と同じ様に冥王ハーデスの激甘をお願いしたいです。宜しくお願い致します。 (2017年11月4日 9時) (レス) id: af04e3343b (このIDを非表示/違反報告)
菜穂 - リクエストでモルペウス様をお願いします (2017年9月16日 16時) (レス) id: 7818562d23 (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔 - 薄紅梅さん» お久し振りです。機種変更して新しくやらせて頂いています。小説読ませて頂きました。凄く良かったです、有難うございます。また宜しくお願い致します。 (2017年7月30日 1時) (レス) id: dad805e2b0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:薄紅梅 | 作成日時:2017年1月8日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。