警察学校組とあれこれ【短編集】

松田/ギャグ微甘/彼女(2/2) ページ10

｢お待たせ陣平｣

｢おお、お前が呼び出しとか珍しいな｣

｢何だったんだ？｣と聞きながら｢ん、｣と雑に手を出されその手を迷わず掴む。

｢んー、進学先の食い違い？｣

ギュッと握り返してくれる自然な流れに毎回キュンとしているのは内緒だ。

この雑さがたまらん！


｢陣平はやっぱ警察官目指すんだよね｣

｢ああ、警視総監ぶっ飛ばすのが目標だかんな｣

私の手を握る力が僅かに強くなった。
警察を憎んでるくせに、それになりたいだなんて、全く陣平らしい。


…たまらん推せる！


｢…私も一緒にぶっ飛ばそうかな｣

｢お前の成績なら何にでもなれるだろ｣

｢……陣平のお嫁さんにもなれる？｣

｢おまっ、何言って｣

はあ？！と僅かに腹立つ顔をされた。
耳が真っ赤になっていて思わず笑ってしまう。


めちゃくちゃ可愛い！愛した！


｢ええー、そこはドーンと来い！でしょうが｣

そう言って覗き込むと、｢お前なぁ…｣とガシガシと頭をかいて気まずそうに目を逸らされた。

｢まぁ、冗談はさておき…｣

前を向き直して悩みマックスな溜息が漏れた。

｢…なんだよ、何をそんなに悩んで｣

｢なりたいものがない｣

｢あ？｣

｢将来の夢が何にもなーい！｣

昔から勉強だけはやってきた。
なんならガリ勉と言われても仕方ない程に勉強一筋でつまらない女だったと思う。

…陣平に出会うまでは。

良い大学に入る事が目標だったけどその先は…？


｢…とりあえず良い大学に入れば良いんじゃねえか？｣

｢んー｣

｢そしたら、｣

｢んー？｣

なに？と覗き込むと、あーんーと口籠もりながら何やら言いにくそうに挙動不審になった。


｢最終的に…、


就職先にはなってやらない事もねえけど｣

｢ッ！！！｣

私は口を押さえて悲鳴を押し殺し悶えまくった。


はー！好きッ！！！




【俺の所に永久就職しませんか】




(先生！私東都大学に行きます！)
(お、おお、良い心掛けだ。将来の夢決まったのか？)
(陣平のお嫁さんです！)
(………………、)

なんとも言えない顔をされた。解せん。

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