3歩、 ページ5
この話の途中くらいまで白布side続きます!
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白布side
その伸びは女子だけでなく、男子にまで広がり始めていた。
特に隣の俺のクラスでの影響が大きく、太一に興味の無かった女子も、あの事故があってからはちょくちょく俺に話を聞きにくたぐらい。
でも1つ、気になることがある。
それは、太一の行動や言動には
多分、小さな違和感だから俺以外気づいていない。
どんなモテ男でも気づかないような変化にでさえ、1番に気づいて、さらっと褒めるし。
(そういうのがモテる要素なのか?)
__________まるで隣にずっと大切な誰かがいたかのように。
いや、誰かって女子しかいないのだが。
恋愛の話題になっても、太一は恋人なんていた事ない、と言い張ってきかない。だからはっきりとは分からない。けど。
でもやはり、言い方にどこか違和感があるのだ。
そんなこんなでルームメイトであり、親友でもある俺は1つ確信した。
____________川西太一は、重大な何かを隠している。
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川西side
そういえば、俺の好きな歌詞の中に、こんな言葉がある。
“人は儚くも雪のように消えゆくものならば
この思いさえも諸共に消えてしまえばいい”
って。
初めて聞いたとき、俺の心を読んだんじゃないか、っていうくらい刺さった歌詞。
俺が勝手に置いてったから、この気持ちはいつかアイツだけじゃなくて、きっと俺にとっても邪魔になるだろうって、なのに。
この恋心は年々昂って、苦しめて、焼いて。
ずっと消えないでいるんだ。
“あの日”からずっと。
春は旅の季節だ。あそこから発つ日の様に。
夏になる度、あの日の夜を想う。初めて、A から誘ってもらったあの日のことを。
秋が告ぐ境界線。いつもの夕暮より少し暗くて。
今でも夕暮れはちょっと怖いかな。
乾いた冬が来て、そしてまた春の音がする。
それでも、まだ消えてくれない。
記憶の中でも。
桜が舞う、華やかな宴の最中。
桜を背にして綻ぶ顔がふと浮かぶ。
星は降る。
落ちていく幾つもの流星群は、俺達だけに降り注いだ。
月が綺麗だね。って、真っ赤にして。二人の影が伸びていった。
雪が積もる。Aがいない季節がまた1つ増えて、また巡っていった。
それでも、もう手は届かないから。
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作者名:水菜 | 作成日時:2022年12月11日 16時