そして、2人は ページ24
Aside
もう、我慢の限界だった。
とはいっても最近の鬱憤が爆発した、だとかそういうのでは無い。
正確には彼の人格にだ。
こっちだって考てこなかったわけじゃない。
寧ろ、釣り合うだとか釣り合わないだとか考えてしまうのはこっちの方だろう。
モテる太一の彼女である私が。
周りも、もちろん太一の視線も全て私に向けられた。
でも、迷惑かけてでも彼に言いたいことが私にはあるから。
A『…確かに、確かに思ったよ！！病院で目覚めてから、1度も太一がお見舞いに来てくれなかったとき！！なんでだろうって！！こんな目に遭っちゃって！私のこと面倒になっちゃったのかなってさ！！！』
でもそれは大きな間違いだったのだ。
『でもー！っ私、お医者さんの話聞いちゃったら何も言えなくなったの！！
明るい茶髪の！！身長の高い子が！！！毎日毎日欠かさず病室に来てたってさぁ！！
そんなのっ……聞いちゃったら何も言えないし、何も、っ何も責めれないんだよ……！』
お母さんに聞いたの。私が初めて目覚めたのは太一が高校に入って初めての大会だって。だから、行きたくても行けなくって、そのままになっちゃったって。
そこまで付け加えて息を整える。
だから、置いてちゃった訳でも諦めてた訳でもないんでしょ。と呟いたときだった。
いつの間にか、太一にそれはそれはキツく抱きしめられていた。
それと同時に何かが落ちていく感覚がして、そっと上を向こうとすればダーメだなんて涙声で静止されたのでそれは叶わなかった。
ふふ、いつになってもそういうところは変わらないんだね。ちょっと安心したよ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
川西side
彼女は、きっと全部知っていたんだな。
多分彼女のことだから、お母さんから根掘り葉掘り聞いたのだろう。
これから色んな人と関わっていく中で、こんな臆病なヤツを何の見返りもなく扱える女子なんて、彼女しかいないのだろうな。なんて思ってしまった。
今だけは涙を流してしまうことをどうか許して欲しいな、A。
どれぐらいこうしていただろうか。
ねぇ。と下から少しくぐもった声が聞こえる。
下を見てみれば、キツい。と口パクで伝えられたので渋々離してやる。
A『…ねぇ、そういえば。まだ、質問に答えてないよね？
…え？じゃないよ、私、今でも好きですかって聞いたじゃ｢ﾊｲ、ｲﾏﾃﾞﾓｽｷﾃﾞこっち見てよ！｣
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作者名：水菜 | 作成日時：2022年12月11日 16時
