海賊短編部屋 (ページ4)

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曖昧な関係？(ベン・ベックマン) ページ4

｢よぉ｣

｢いらっしゃい｣

日が暮れ、町が昼とは違った賑わいをし始める時間。
賑やかな街中の店ではなく、彼はやや郊外のわたしの家にやってくる。

｢今日もまた美味そうだな｣

｢ありがとうございます。一応お客さんに適当なものは出せないし、わたしも必死なんですよ｣

旦那や彼氏でもない。
彼はあの有名な四皇のうちの一つである赤髪海賊団の副船長さん。
ふとしたキッカケで知り合い、気付いたら夜を一緒に過ごすようになっていた。

といっても、アダルトな関係なわけではなく食事をしたり、ちょっと飲んだりするくらい。
時々泊まっていくこともあるけど、お互いいい年の割には健全だ。
今日もいつものように食事をし、談笑していた。

「A」

「なぁに？」

「一週間後、俺たちはこの島を出る」

「……そう」

初めて彼らがこの島に来たのは半年程前。
ここを拠点にログを溜めたり、近くの海を回っていたようだけどついに、か。

「次、出たらもうここには来ないだろう」

「そっか･･････」

いつかそういう日がくるのはわかっていた。
でもいざ、となるとやっぱり寂しいもんだ。

「なぁ、船に乗らないか？」

「え？海賊になれってこと？わたし戦えないですよ？」

「違う。俺の、嫁になれ」

彼専用の吸い殻入れにタバコを押し当て、真剣な顔で言われた。
この人は冗談を言うような人ではない。
本気なんだろう。

「付き合ってもないのに色々すっ飛ばして嫁なの？」

「もう俺の女だと思ってたけどな」

「わたしなった覚えないけど」

「お前は好きでもない男を簡単に家に招き入れ、泊めるのか？」

「しないね」

「なら問題ないな。荷物まとめろよ。うちの連中に運ばせるから」

「わたしまだ了承してない」

「断るのか？」

「断ったらどうするの？」

断る理由なんかない。
でも好奇心で言いながら食べ終えた食器を流しに持って行く。

｢そうだな･･････｣

後ろを振り返ると彼はふーっとタバコの煙を吐き出し、わたしの顔をじっと見つめる。

｢無理にでも連れて行くさ｣

｢ぇ、それ聞いた意味あります？｣

｢一応な｣

｢ふーん。断らないから安心して下さい｣

ベンさんはわたしの返事に安心したのかふっと笑みを浮かべ、またタバコを吸い始めた。
さぁ、明日から忙しくなるぞ。

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年上だしあの赤髪海賊団の副船長さんだし！と敬語を意識しつつも、親しい仲なので崩れたりもしています。