海賊短編部屋 (ページ28)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:30,477 hit

素直になれないお年頃2(ベックマン) ページ28

「結局嫌な思いするなら会いに来なきゃよかった」

シャワーを浴び、ベッドに横になっていたらつい漏れてしまった。
なんかだんだ言ってまだ好きで、だから時々会いに行ってしまう。
船や無人島にいる時は野郎ばっかだからいいんだけど、栄えている島に停泊してる時に来たのは失敗だった。

コンコン

「起きてるか？」

「(？！)」

なんでここにいる？
誰にも教えてないし、気配だって消している。
街の中心地から少し離れている所を選んだのに。

よし。寝たふりしよう。

「・・・・・・。素直にドアを開けるのと、ドアをぶっ壊されるのどちらがいいか選べ」

素直に開けましたよね。
意外とマジでやらかすんだよ、この人は・・・。

「なんの用？綺麗なお姉さん達ほったらかしていいの？」

「随分な挨拶だな。入るぞ」

嫌味を言ったつもりなのにスルーしてずかずか中に入ってきたよ。
しかもちゃっかりベッドに座るな。

「わたし疲れて眠いから用があるなら手短にして」

「お前に会いに来た」

「ならもう目的は達成されたね。さようなら、おやすみなさい」

ベックがベッドに座ってるから目の前に立って話していたのに、腕を引っ張られて足の間に座らされてしまう。
離れようと暴れたり、距離を取ろうとするけど抱き込まれてしまいどうにもならない。
体格差、男女の差とか理由は色々あるけど、やっぱ惚れた弱みで本気で抵抗しきれないというのもあるんだよね。悔しい。

「離して」

「断る」

「(死ね！！！)」

本当に何がしたいんだ、この人は。
女をはべらせていたかと思えば、わたしに会いに来たってわざわざ訪ねてくるし。

「わたしをおちょくってるの？」

「そんなわけないだろう」

「わたしは、もう、あんたなんか嫌いだ！！！
こうやって会いに来ないで！抱き締めたりしないで！」

嘘だ。本当はまだ好きだし嬉しくて仕方ない。
でもそれを素直に認めたくなんかない気持ちもある。

「ベックは、なにがしたいのよ」

他の女といちゃついたかと思えば、わたしの所に来たり意味がわからない。
気持ちがぐちゃぐちゃになって、ベックの服を掴み胸に顔を押し付け涙が溢れてしまった。

それでもなお、優しく抱き締め背中を撫でてくれる彼がむかつくし、大好きなんだよなぁ。

----------------------------------------------
元(？)赤髪海賊団の一員なので世間のレベルでいったらめちゃくちゃ強いです。