【テニプリ】黄蝶【男主】 (ページ33)

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「Aさん！」

真田と言う名前について考えていると、更に後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。

そちらを見たはいいが、それは試合前に奏斗と話したとき見たテニス部の知らない人だった。

名前で呼ばれたことを不思議に思いながら声をかけようとしたら、先を越された。

「俺っす、切原赤也っす！！」

「えっと……」

名乗られても、真田ほど聞き覚えはなかった。

神奈川なんだから、もしかしたら昔どこかで会ったことあるのかもしれない。

でも、そんなに覚えてないということは、繋がりはそんなに強くなかった、はず。

それにしても、真田って・・・

昔を思い出して、記憶の中の『真田』を見つけ出した。

切原君に覚えがないと謝りを入れ、真田に向かい合う。

「真田……、って本当にあの真田？」

「やはり三葉なのか」

周りからしたら噛み合っていないような会話だが、俺にとってはちゃんとした返事だった。

「今は三葉じゃないよ」

「なぜテニスをやめた」

おちゃらけたように言えば、彼は俺を無視して単刀直入に聞いてきた。

それはここにいる誰もが聞きたかった事なのだろう。

視線が俺に集まる。