【テニプリ】黄蝶【男主】 (ページ26)

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「兄さん！！」

体育館に入ろうとしたとき、そんな声が聞こえてきた。

振り向いてとらえた視線の先には、見覚えのある少年。

明らかに声をかけられたのは俺だろう。

そこに立っていたのは、正真正銘、俺の弟なんだから。

3年も会っていないのに変わってないのは、彼がまだ中1だからだろうか。

皆に先に行ってるように言い、走り寄ってきた彼の正面に立つ。

「兄さん・・・」

聞きたいことがありすぎて困っているのかな。

「変わらないね、奏斗」

「兄さんも！」

俺から話しかけると彼は、昔を思い出したのかテンションを上げたが、すぐにまた困った顔をした。

「ごめん、今忙しいんだ。後でいいかな？」

「……ッ！！ヤダ！！」

「奏斗？」

俺はこれから練習試合なのだ。

チームをまとめる立場でもある。

これ以上私情で離れてはいられない。

それなのに、我が儘を言うように俺の腕を掴む奏斗。

「だって、聞きたいこといっぱいあるんだ。そのせいで練習に身が入らない」

「練習って……」

彼が走ってきた先を見ると、水道にはテニスのラケットを持った黒髪の天パ？がそこでこちらを見ていた。